innocence/guilty(未修正版)

□終章
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「お? イヅキ…か?」
丘へと向かっていたオレの足は懐かしい声により一時止められた。
「久しぶりだな、ゴッズ」
「いや久しぶりだなってお前;今までどこ行ってたんだ?」
「まぁな、色々あったんだよ…」
その問いに持っていた花束を肩に担いで広がる畑を身やる。
本当にこの村を出てから色々あった。その間もずっとゴッズは畑を耕して居たかと思うと何か妙な気持ちに包まれる、幼い頃は一緒に遊んだのだが…一人は死に、一人は旅へ、一人は畑を耕している。これが運命とやらなのだろうか
らしく無い事を考えていたオレはためらいがちに話しかけてきたゴッズの声で現実に引き戻された
「なぁイヅキ…首都で明日王族になるティアラって橙髪の少女ってのはまさか…」
「…さあな」
素知らぬふりをし歩き始めた後ろから怒りにも似た声があがる
「っ、なぜ素直にならないんだ!彼女だってきっと―」
 バサァ…ッ
遮るように振り下ろした花束から紅い花片が舞い散った。
「…アイツは王族だ、オレがどう足掻こうが手を出しちゃ行けない身分なんだよ」


あの時と変わらず緩やかな風が吹く見晴らしの丘。そこへついたオレはしばらく立ち尽くした
 サァァァ
春特有の淡い匂いが色づき始めた花と共に揺れている…髪が伸びたな、そろそろ切らないと
そして一際小高い位置に立つまだ比較的新しい墓石を前に座り込んで花を捧げる
「よぉ、約束通りの花だ。周りにこんだけ咲いてりゃ要らないだろうが気持ちだ」
この下に眠るかつての婚約者。アイツが一番好きだったこの場所に埋めてやってくれと頼んだ事をゴッズは果たしてくれたらしい
「おかしいな、涙の一つも流すつもりだったんだが…なんでだか穏やかな気持ちなんだよなぁ…」
苦笑しながら空を見上げる。ひつじ雲が一匹ニ匹…
なぁセリ、オレは成長できたんだろうか?
―そんなの分からないわ、自分にしか感じる事が出来ない物でしょ?―
「あぁ、そうかもな…」
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