innocence/guilty(未修正版)

□第8章
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「うっわぁ〜!広い!」
見渡す限りの草原が広がって行く。空はどこまでも澄んでいて雲は一かけらも見当たらず…
「おかしいですね…方角的には合ってる筈なんですけど…」
「何やってんのよ白髪。ここの何処がサウスミレットなのかしら〜?」
そんな横をすり抜けて、リオンは脛までの草の間を跳ねて行く。
「すっごいねー!草の海みたいだよっ!」
自分の体に術を掛けているかの如く、飛ぶように走っている。
「ガキかアイツは」
苦笑しながらじっと魅入ってしまった。まるで踊るかの様にくるくると跳ね回って跳躍。
ぽんぽんとあちこちに着地してはまた地面を蹴りそのまま天まで…

光がオレの眼を射る。薄目で見たアイツの背中には…

「っ…リオン!!」

気付くと叫ぶ様に声を振り絞って出していた。
…お前は…!?

「なぁーにっ?」

最高の笑顔で振り向くリオンの背中からは『それ』は消え失せていた。
「あ…いや、行くぞ」
「えーもう?」
不満そうにこちらに走ってくるのを待たず、歩きだす。
「どうしたんですの?」
「な…んでも無いっ」
言えるかよ、恥ずかしい…アイツの背中に…
(翼が見えただなんて…)


「おー、高い」
「これは…;」
「ま〜た間違えたんじゃ無いのかしら?方向音痴のエクス君?」
見上げるほどに高い城壁。なぜか真ん中辺りに扉がついている。
「サウスミレット到着…なのか?これは」
イヅキも首を捻ってどうやって中に入ったら良いか考えている。
「とりあえず呼んでみようよ、すいませ〜ん!」
しばらくすると、扉が開き、ダレ…も出て来ない。
「?」
「何だ?」
「来れるもんなら来てみやがれって事ですかしら…?」
不信なドアを見上げ、様々な推測を並べるボクら。いや、1人だけ違った。
「こ…れは…」
エクスは混乱した顔つきで足下を見た、彼の足には空気が渦巻いていて…
「わっっ!?」
「エクスっ!?」
グッと釣られるように足から上に飛んで行く!行く先は先程開いた扉の向こうっ
「っ!?」
「きゃぁっ!」
次いでイヅキとヒノエも釣り上げられてしまう。ボクはビックリして慌てて後を追ってジャンプっ…!
 トンッ
扉に入ってまず先に眼に入ったのはイヅキとヒノエに潰されたエクス。
そして…
「驚いた、アンタも風を操るの?」
青い眼を見開いた黒髪のおねーさんだった。
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