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□ボイスドラマ脚本
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 森の中を歩く一行。足音SE
灰音「今朝早くなんだけど、森の方からすごい音が聞こえたらしいのよ。爆発音の後ケモノの唸るような声が聞こえて、不安だから見てきて欲しいって」
金魚「なるほど。で、来たはいいけど…」
(チーンSE/穴に落ちてる謎の男)
金魚「なんで穴に落ちるかな」
頭夜「大丈夫かー? スベスベ」←反響させる
謎の男「なんなんだよいったい!!」
雪流「変ですねぇ、どうしてスベスベさんばっかりこんな目に会うんでしょう」
灰音「落とし穴に落ちるわ、緩んだ崖から落ちるわ、ザコ敵には真っ先に狙われるわ」
金魚「変な名前で呼ばれるわ」
謎の男「最後! 最後はお前が原因!!」
雪流「なんだか不思議な感じがしますねぇ、いつもだったらこういうポジションは頭夜さんですから」
金魚「なるほど、不幸属性か」
謎の男・頭夜「「不幸属性とかゆーなっ!!」」
灰音「何か悪いものにでも取り憑かれてるんじゃない?」
謎の男「不吉なこと言うなよ…」
 カァー(ペチョッSE)
金魚「うわっ、鳥フン!」
謎の男「だあああ!! いい加減にしろーっ!」
 ブンッ ガツン!
雪流「うわっ! 大丈夫ですか?」
灰音「枝が落下してくるなんて…不運もここまで来るとアッパレね」
頭夜「……どうした?」
 BGM転換? ちょっとシリアス感じに
謎の男「…もしかしたら、天罰なのかもな」
金魚「天罰?」
謎の男「記憶を失ってるのも、これだけ不幸な目にあうのも、何かとんでもないことをした代償なのかもしれない……」
雪流「そんな…スベスベさんはそんな人じゃないですよ!」
謎の男「どうだかな、一人や二人軽く殺してるかもしれないぞ」
雪流「そんな…」
 立ち上がるようなSE
謎の男「ハハ…オレと居るとお前たちまで不幸になるかもしれない。つき合わせて悪かったな。ここで別れよう」
頭夜「お前…」
謎の男「あとは一人で何とかする。それじゃ」
(足音→殴りSE)
灰音「金魚!?」雪流「金魚さん!?」
金魚「勝手なこと言うなよスベスベ。私たちがそんなことくらいで引くとでも思うのか?」
 感動的なBGMに
金魚「不幸がなんだ!お前に不幸が襲い掛かるなら私たちが振り払ってやる!」
金魚「一人でなんとかしようとするのも悪くないさ。だけどな、私たちがここに居るんだ、少しは頼ってくれよ」
灰音「金魚…」←感激したように
雪流「金魚さん…」←同じく
頭夜「なぁ、非情に言いにくいんだが…」
 BGMいきなり停止
頭夜「完璧に気ィ失ってる、スベスベ」(チーンSE)
金魚「うわぁ!? 強く殴りすぎたっ!」

間。

金魚「やー、悪い悪い。まさかあんな良いところに入るとは思わなかった(苦笑気味に)」
謎の男「まったく、殺す気か…」
金魚「でもよ、難しく考えるなよスベスベ。お前は悪いやつじゃない。それはこれまでのやりとりを見てりゃ分かることだ」
金魚「仮に記憶が戻らなくたって大丈夫、私たちと一緒に暮らせばいいさ!」
謎の男「一緒…に?」
金魚「いいよな? みんな」
灰音「そうね、こんなに個性が強いヤツばっかりなんだもの。今さら一人くらい増えたってどーってことないわよ」
頭夜「自分の食い扶持ぐらいは働いてもらうけどな」
雪流「そうですよ。だからそんなに不安そうな顔をしないでください」
謎の男「なんっ…誰が不安そうな顔なんかしてるか!」
灰音「ふふっ、迷子みたいな顔してたわよ」
頭夜「もしくは捨てられた子犬みたいな顔だな」
謎の男「あのなぁっ!」
(金魚・頭夜・灰音・雪流、笑い声)
謎の男「……ありがとう」←抑え目に

(いきなりケモノの遠吠えのような声)

頭夜「あれは…」
金魚「どうやら依頼のマモノみたいだな。早いとこ退治して帰ろうぜ! 戻ったらスベスベの歓迎パーティーだっ」
謎の男「なぁ、だからその名前やめないか!?」
頭夜「いくぞっ」
(また遠吠え)
謎の男「あの声…」
 BGMフェードアウト

 スベスベの記憶が断片的に蘇る。ところどころノイズいれる演出。
「まったく! なんなのよこの敵は!!」
「気をつけてくださいっ、ヤツの額にある宝石を見るとっ」
「危ないっ! 後ろ!!」

 BGM戻ってくる
謎の男「今…のは…?」
金魚「居たぞっ!あいつだ!!」
 ザッとケモノが登場。低い唸り声
頭夜「オオカミ? いや違うな…」
灰音「なんだって良いわよっ、大事なのはコイツが闘志満々だってこと! 来るわよ!」
雪流「スベスベさんは後ろに居て下さいっ」
(刀鞘走り音)
金魚「いっくぞぉぉお!」
 戦闘開始。背後で戦ってる音が響く中、スベスベの記憶がどんどん蘇って来る。
謎の男「そうだ、あの時オレはアイツに…」

(回想)
「資料によると、これから戦う敵は、額にある宝石で相手を金縛りにするそうです」
「つまりその宝石を見なきゃいいんだね? りょーかい!」
「さらに瀬死状態に追い込むと空間を切り裂いて別次元へ逃げ込む能力があるとの報告が……」
「空間を切り裂くですって? それに巻き込まれたらどうなるのよ?」
「あまり考えたくはないが、最悪別の世界にはじき出される可能性が……」
(回想ここまで)

謎の男「思い出した…オレはあの時、死に際のアイツの技に巻き込まれて…」

灰音「金魚っ! 補助して!!」
金魚「ちょっと待て! 何かヘンだっ」
頭夜「身体、が」
雪流「動かないです〜っ」

謎の男「みんな! くそっ…金縛りかっ」

金魚「うっごけねぇぇえ!!」
 ザッ
頭夜「しまった!スベスベ!そっち行ったぞ!」
謎の男「くっ!」
(かする音)
金魚「大丈夫か!?」
謎の男「あぁ、これ借りるぞ!」
 パシッ(刀つかむ)
謎の男「うぉぉぉお!!!」
(額の宝石が割れる。マモノの悲鳴)
灰音「動けるわ!」
謎の男「金魚!」
金魚「おうっ!」
(刀投げる。受け取る金魚)
金魚「くらええええ!」
 ザシュッ
頭夜「やった!」
(マモノの弱ったような悲鳴。空間切り裂くSE、以降なんか吸い込まれるような風の音)
雪流「空間を切り裂いた!?」
謎の男「あのマモノは弱ると別の次元に逃げ込むんだ、オレはそれに巻き込まれて…」
金魚「思い出したのか?」
謎の男「いや、まだ全部は…」
灰音「ってことは、あそこに飛び込めばスベスベ君の居た世界に戻れるってこと?」
 ザッ
頭夜「マモノが逃げ込んだぞ!」
雪流「わっ、わっ、もう閉まり始めてますよ!?」
謎の男「だ、だけど…」
灰音「グズグズしてると閉まっちゃうわよ!」
謎の男「オレは……」
 BGM切り替え。エンディングっぽく
 トンッ(背中押すSE)
金魚「行けよスベスベ。早くしないと帰りそびれるぞ」
謎の男「金魚…」
金魚「あのな、さっきの動きを見てて思ったんだ。きっとお前もどこかの世界で旅をしていて、私たちみたいな仲間が居るんだと思う」
謎の男「オレの…仲間…」
金魚「なぁ、そいつらを待たせてていいのか?」←ニカッと笑う
謎の男「……そうだな」←つられて少しだけ笑う
 (足音)
灰音「元気でねーっ、スベスベくん!」
雪流「また来れたら、遊びに来てくださいねぇ〜」
頭夜「そっちの世界でもしっかりやれよ!」
金魚「心配すんな!きっと帰れるさ!」

謎の男「みんな! 本当にありがとうっ」

なんかそれっぽい収束音。スベスベ消える

雪流「いっちゃいましたね…」
頭夜「別れっていうのは、やっぱりつらいな…」
灰音「また会えるかしら…… 金魚?どうかした?」
金魚「あのな。私、思うんだ――」

***

場面きりかえ。遠くから聞こえてくる声

「ねぇ、ねぇってば!起きてよっ」
「う…」
「あぁっ、やっとお目覚めになられましたのね!わたくしは心配で心配でぇぇぇえ!!」
 ドスッ
「ぐあっ!」
「おい、白目剥いてる」
「あらやだ、失礼いたしました」
「あ、相変わらずだなお前は…」
「ホントにどうしちゃったの? いきなり空中からパッと現われるんだもん。ビックリしちゃったよ」
「空中? オレが?」
「えぇ、あのマモノと共に消えて10分ほどでしょうか。何の前触れもなく落ちてきましたよ」
「そうだっ、ヤツは!?」
「へいきへいき、力尽きてさっき消えちゃったよ」
「そうか…」
「いったい何があったんですか? 空間を切り裂く能力に巻き込まれたということは、どこか別の次元にでも?」
「別の…次元…」
「どうしたの? なんかつらそうだケド…」
「…ダメ、だ、また思い出せない…あんなに世話になったのに、アイツらの事をもうぼんやりとしか…」
「アイツら? どなたのことですの?」
「どうして忘れてるんだっ。もう二度と会えないかもしれないのに…オレはっ」
「おそらくは次元を超えたときのショックで記憶が抜け落ちたのでしょう。夢の中のようなものですから、仕方のないことですよ」←淡々と
「あれが夢の中だなんて…」

「…だいじょうぶだよっ」

***

ここから二人のセリフが交互にかぶるように

金魚「私たちだって別々の話だったのにまた会えたんだ。スベスベにだってまたすぐ会えるさ」
「この世はふしぎなことであふれてる。不可能なことなんて絶対にないはずだよ」
金魚「諦めさえしなければ、どんなことだって叶う」
「キミが会いたいと願い続ければ、いつか絶対会えるはずさ、だって――」


「「世界はつながってるんだから!」」


ここでエンディング。

「オリジナル創作サイト、たなからぼたもち。10周年記念ボイスドラマ〜異世界からのおとしもの〜 ご清聴ありがとうございました! ボクたちの冒険はまだまだ続くよ。さぁっ、キミも一緒に出かけようっ」
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