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□ボイスドラマ脚本
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<<短編ボイスドラマ台本>>

 朝、爽やかなBGM。調理中の音
雪流「ふぁぁ…おはようございます灰音さん」
灰音「おはよ、昨日は夜おそくまでお疲れ様。まったく、あんな時間まで働かされるなんて、話が違うじゃない」
雪流「でも酒場のご主人に泣きつかれたら断れないですよ。ちゃんと残業代も貰えたし、僕は全然気にしてないです」
灰音「まったくお人好しなんだから…(苦笑)はい、朝ごはん。私もまだだから一緒に食べましょ」
 コトッ(食器置く音)
雪流「わぁ、美味しそうです。いただきまーす」
雪流「ところで、金魚さんと頭夜さんは?」
灰音「あの二人なら、いつものように手合わせも兼ねて薪(まき)割りに行ってるわよ。そろそろ戻ってくる頃じゃないかしら」
 ドサッ(何かを置くような音)
雪流「あ、帰ってきたみたいですね」
 ガチャ(雪流、扉を開けて出迎えに出る)
雪流「おかえりなさーい」
金魚「おう、帰ったぞ! 灰音ぇー腹へったぁー」
灰音「まったくアンタは…荷物を裏小屋に置いてきてちょうだい。ご飯はその後」
金魚「へぇーい」
雪流「あれ、頭夜さんはどうしました?」
 カラカラ(薪を探る音)
金魚「そうそう、それなんだがな、今日ヘンなもの拾ったんだ」
雪流「ヘンな物、ですか?」
金魚「あれっ?どこいった? おっかしーなー、奥に放り込みすぎたか?(ガサゴソSE)これは薪(まき)だろ、途中で襲いかかってきたクマだろ、道の途中に咲いてた人食い花に――」
雪流「わっ、わっ」
 ドスッとか、とにかくいろんな物放り投げてる音
灰音「ちょっと、何の騒ぎよ!」
金魚「紫色のキノコに、なんだかよくわからないヘドロ状の物体に――あった!空から降ってきた謎の成人男性!」
 ドサッ
灰音・雪流「「うわぁーっ!」
金魚「…と、それに潰された頭夜」
 ドサッ
灰音・雪流「「うわぁーっ!!!?」」←さっきよりさらにビックリに
金魚「今日の収穫はこんなもんだな」
灰音「あ、アンタねぇ! 変なもの拾ってくるなって言ってるでしょー!!」
雪流「怒るとこそこですかぁ!?」

*場面転換ジングル*

灰音「で、どういうことよ?」
金魚「うーん、それが長くて複雑な話なんだが…」

[回想シーン、森の中を歩いてる金魚と頭夜]

金魚「だぁからー、お前の型は率直すぎなんだって。そんな太刀筋じゃ相手にすぐ読まれるぞ」
頭夜「あのなぁ基本を押さえてなにが悪いんだよ」
金魚「頭夜の動きには『華』がない!」
頭夜「要らないだろ! 華!」
 ひゅるるるる…(デフォルメ的な落下音)
頭夜「だいたいお前こそな――」
金魚「ん? おい頭夜、上」
頭夜「話を逸らそうったってそうは」
 ドカッ
頭夜「ふげっ!」
金魚「あーあー、だから言ったのに。おい頭夜ぁー?おーい。…ダメだ、完全に落ちてら」←終わりの方フェードアウトさせ

[回想終わり]

金魚「――と、言うわけなんだ」
灰音「長くも複雑でもないわよ」←真顔でツッコミ
雪流「じゃあ、この男の人は空から落ちて来たんですか?」
 (衣擦れ音)
頭夜「いっつつつ……」
雪流「あ、頭夜さん、痛いとこはないですか?」
頭夜「…なんとか。(ため息)なんで俺はいっつも潰される運命なんだ」
金魚「落下地点に頭夜が入り込んでくるからじゃないか?」
頭夜「うるせーっ!」
灰音「で、青ずきんが目覚めたのはいいけど、こちらのお兄さんはどこの誰なのかしら」
雪流「うーん…」
金魚「見覚えあるか?」
頭夜「ない、この辺りじゃ見ない顔だな」
灰音「確かに。旅人かしら?」
謎の男「うぅ…」
雪流「あ、起きそうですよ」
金魚「よぉ、気分はどうだ?」
謎の男「え……?」
雪流「痛むところはないですか?お名前は?」
謎の男「名前…オレの名前…?   わからない」
灰音「えっ?」
謎の男「ここはどこだ…? オレは、いったい誰なんだ?」
 間。
金魚「すげぇ!『ここはどこ?私は誰?』なんて言うやつ初めて見た!」←キラキラ顔を輝かせながら
灰音「失礼なこと言わないの!(スパーンSE) ごめんなさいね、でも本当に何も覚えてないの?」
金魚「お前、空から落ちてきたんだぞ」
謎の男「空ぁ?」

*場面転換ジングル*

謎の男「ダメだ。やっぱり何も思い出せない…」
雪流「困りましたねぇ」
謎の男「ところでアンタたちは…」
金魚「おう、自己紹介がまだだったな」
金魚「私は金魚。ここでコイツらと一緒に何でも屋をやってる」
灰音「灰音よ」
雪流「雪流と申します〜」
頭夜「頭夜だ、よろしくな」
謎の男「オレは……(ハァ…)やっぱり思い出せないか」
雪流「うぅん、今の流れで名前くらいなら思い出せるかと思ったんですけどねぇ」
金魚「名前がないと不便だな。よし、私がつけてやろう!」
謎の男「え、ちょっ…」
金魚「そうだな……ズワイガニなんてどうだ? タカアシガニは?」
謎の男「カニ!?」
金魚「ケブカツノクリガニとかアシナガマメヘイケガニなんてのも良いな」←真面目に言ってる
謎の男「なんでカニ縛りなんだよ!もうちょっとまともな名前をつけてくれ!」
金魚「なんだよワガママなヤツだなぁ。それじゃあ…」
謎の男「まったく…人をなんだと思ってんだ…」
金魚「よし、今日からお前はスベスベマンジュウガニだ!」
謎の男「結局カニ!!」
 ガタッ(イス引く音)
灰音「それじゃ、スベスベマンジュウガニ君の情報を探すためにも、街に行きましょうか」
謎の男「え、ちょっと?」
雪流「そうですね、スベスベさんの手がかりがあるかもしれませんからね」
謎の男「おい待て、名前」
頭夜「ほら置いてくぞ、スベスベ」
金魚「みんなで街に行くのは久しぶりだなぁ、なんか手がかりあるといいな、スベスベ!」
(灰音:ついでに買い出しもしようかしら)
(頭夜:そういや物置のたてつけが悪かったな、直したいから釘も買おうぜ)
(雪流:塗り替えもしたいですねぇー)
(金魚:おっ、それいいな)
 ガクッと地に膝を着くSE
謎の男「スベスベ…スベスベマンジュウガニ…それがオレの新しい名前…」
謎の男「(すぅっ)認めるかーっ!!」

*場面転換*

 BGM:街っぽく華やかな音楽。ザワザワと雑踏の効果音とか入れて
金魚「さて、手がかりを探すか」
雪流「どうするつもりですか?」
金魚「そうだなぁ… スベスベ、ちょっとそこらへんの人捕まえて聞いてみろよ」
謎の男「聞き込みか。なんて聞けばいいんだ?」
金魚「ストレートに『オレのこと覚えてない?』とかどうだ?」
謎の男「……それ相手からすればただのナンパだろ」
雪流「あ、でもほら、スベスベさん割とイケメンさんですし成功率は高いと思いますよ」
謎の男「なんで口説くのが目的になってんだよ!!」
 別行動の灰音と頭夜が合流
頭夜「おーい!」
雪流「あっ、灰音さんたちです」
金魚「こっちこっち!酒場で何か情報はあったか?」
謎の男「酒場?」
雪流「この街は酒場が情報交換の場になってるんです。僕たちも仕事の斡旋とかそこでして貰ってるんですよ」
灰音「スベスベ君に関する情報は残念だけどなかったわ。それよりちょっと厄介な仕事を押し付けられちゃってね…」
金魚「厄介?」
頭夜「マモノ退治の依頼だ」
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