innocence/guilty(未修正版)

□終章
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「ティアラ」
窓の外を何と無く見つめていた私は、呼ばれた方を見やり微笑んだ。
「ディア、良いの?こんな所に居て」
「全く、明日の式典の主役である君こそ焦ったらどうなんだい?」
多少呆れたような表情で隣へと来るディアの為に私は少し場所を開けた。
「もう…あれから半年も経つのね」
優しい春風に腰まで伸びた髪をなびかせて、あの頃を思い出す…


あの朝、目覚めると彼は居なかった。
『…行っちゃったね』
エクスとヒノエには笑顔でそう言った。悲しくなんか無い…
そのまま私はリンドバークにとどまる事になり、二人も自分の故郷へと帰っていった。
『離しなさい!私は彼の後を追うのよー!!』
『それでは、また会いに来ますよ』

「? 何を笑ってるんだい?」
「フフ…ちょっとね」
今でも二人はたまに遊びに来る。ロスト・パレス 忍の里の代表として、あるいはただ単に友人として。確か明日も来るはず。私の正式な王位継承者としての式典に…
「それはそうとギヤグースの領主の事はどうなったの?」
「あぁ、あの件かい?言われた通り調べてみたら黒い噂が出てくる出てくる…ま、すぐ新しい領主に代わるだろうね」
「そう…」
ギヤグースの環境は改善されつつ有るようだし、ミレットの飛行船も順調に運航している。一処に集中していたマモノも各地に拡がった。
イムのじいさまにも会いに行ったらちゃんと元の土地に戻って居た。…顔にはしっかりとエクスに焼かれたヤケドの痕が有ったけれど
どこの地も平和だ。少なくとも今は
それでも治める者は必要だから
私は―
「それからレストの村への道の舗装の事だけど―」
「っ…」
不意打ちの様に急に出された村の名に、体をこわばらせた私を咎めるようにディアは顔をしかめた
そこだけは行けなかった。期待と失望を繰り返すのが嫌で…
「姉上、まだあの赤毛の事を…?」
「そんなこと…無いっ」
ハァっと溜め息をつき公務へと戻る彼は去り際に言い残した
「アイツはティアを捨てて行ったのだよ?消息不明で何処に行ったのやら…
明日からは貴女も王族の身、たかが一人の民の事など忘れて治める者としての自覚を持ってくれ」
残された私は窓枠に体重を預け、舞い散る花びらを見つめて居た。

髪も伸びた。
ドレスも着こなせるようになった。
言葉遣いも王族らしくなろうと頑張ってる

ケド

キミの残していったココロの痛みが消えないんだ

どこに居るの?
会いたいよ…

「イヅキ…」
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