innocence/guilty(未修正版)

□第15章
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広大な大地の中、真っ先にそれを見付けたのはやはりリオンだった。
「見えてきたよ!」
遠くからでも見える巨大な城の尖端の周りには、以前には見られなかった禍々しい黒い気体が纏わりついていた。
「リンドバークだ…」
その言葉に皆に緊張が走る。
「やっと来たって感じだな」
「うん」
「ま、面倒事はさっさと片付けましょ」
「部屋の掃除とは訳が違うんだぞ、キサラギ」
近付くたびにピリピリとした空気が刺すようにオレ達を襲う
「っ…何でこんなに空気が…!」
「おそらくは武闘大会の殺気が蔓延し、ここまで届いているかと思われます。」
エクスの言う通り、武闘大会は既に始まっているはずだ。
「急ぐぞ!」


「う゛…;」
誤算だった
「ちょっとどう言う事よ白髪」
「その前に俺の上から退け、キサラギ」
「あら、男がか弱い少女を助けるのはとーぜんの事じゃなくて?」
「お前のどこがか弱いんだぁっ!!」
気合いと共にキサラギを吹っ飛ばす、とヤツは無駄に華麗な着地を決めた。
「…あー、ご苦労。ロスト・パレスに戻ってくれ」
そう言い上空を旋回しているリトルバードに声を掛ける、と白い飛行物体は『何も無い所』をもがいてリンドバークを出ていった。
「ふぅ…まさか防護壁が在るとは;」
「抜かり無しってとこね」
先程そのまま突っ込んで突入しようとした一行は、見事に敵の仕掛けた空気の壁にぶつかった。
「ちなみにこれは風の上級魔法でかなりの魔力を消費し…」
「誰に解説してんのよっ;
そうじゃなくて、嗚呼イヅキ様ぁ〜貴方は何処へ…??」
さめざめと泣き(真似)をするキサラギが言うように、確かに俺達はリンドバークに入る事は出来たが…風の防護壁にぶつかった衝撃で投げ出され分離してしまった。
「まぁ目的地は同じだ、すぐ再会できる」
「そうね」
立ち上がり、歓声の上がった方を目指し歩き出す
「しかし案外シケた街ねぇ〜首都だってからもう少し栄えてるのかと思ったわ」
誰も人通りの無い、閑散とした路地裏を覗きながらキサラギ
「さびれているのも仕方が無い、なんせ…」
言い掛けた俺の足が角を曲がった所で止まる。
「…確かにこんなんじゃ人が居ないのも無理ないわね」
数十匹のヘルハウンドが俺達を待ち構え、取り囲んで包囲したとばかりに唸り声を上げていた。
「準備運動と行くか」
「バテるんじゃ無いわよ」
背中越しに交した言葉を皮切りにマモノが躍り掛る…!
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