innocence/guilty(未修正版)

□第9章
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眼を綴じて見えない物を見よう。

醜いヒトのココロ


「あっ、リンドバークだ!」
「忍の里…は見えないわね、良い事だわ」
「一望出来るんですね、この高度。」
「………。」
何も遮る物が無い絶景に、リオンさんは興奮してその場でピョンピョンと飛び跳ねる。そ
う、地上数十メートルで…
「おいおい、その線から出ないでおくれ、落ちてもしらないよ」
ノースミレット行きの飛行船(?)の運転手は笑いながら注意した。
「? 他の人はいいの?」
無論、俺達の他にも数人乗客は居るのだが、中心の枠から出て注意されたのは彼女だけ
だった。
「そうさ、その枠は観光客用の境界線。落ちたら絶望的な人の為のね」
ニヤリと笑って言う彼の通り、落ちても飛べる住人に安全枠は何ら必要の無い物だろう。
今更だがこの船と呼ぶには少し抵抗のある乗り物について説明すると…動力はこの街特産
の風。
まず大きさは…まぁ普通の部屋サイズの『板』
そう、嘘偽り無く板なので…空飛ぶ絨毯と言った方が分かりやすいかも知れない。
そして何故この様な壁も椅子も無い開けっ広げの危険極まりない構造なのかと言うと…
『動力を最大限に生かす為に、機体は出来るだけ減量化を図った結果がこれさ!(by運転
手)』
だ、そうだ。
そうして一行はノースミレットへ向かって空高く飛んでいるのだった。

『空高く』飛んでいるのだった。

「顔色悪いですよ?イヅキさん」
「!…ι」
先程から一字一句漏らさずに下を向き、だらだらと冷や汗を垂らしている彼は…
「まぁ!ご気分でも悪いのですかっイヅキ様!?」
「い…いや…オレは別にそんな…」
うわずったその声にリオンさんはピンと来た様だ。イタズラ顔で彼の腕を掴むと空中へと
飛び出した。
「ぬわぁぁ〜〜〜!!!」
この世の終わりの様な絶叫を上げながらリオンさんの能力により空飛ぶイヅキさん。高所
恐怖症らしかった。
そういえばリンドバークで落下したときも…
「大丈夫ですよ、彼女は飛べますから」
呆気に取られて居る運転手に俺は言った。
「し…しかしあの兄ちゃんは…大丈夫なのか?何だか高いトコ苦手そうだが…」
「構いません」
ニッコリ笑顔で言う俺の首に糸が巻き付き、狭い板の上は戦場と化した。
「お前ら暴れないで頼むから!落ちるぞっι」
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