innocence/guilty(未修正版)

□第5章
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「動かないで下さい!コルセットが締められませんわ!」
「だから何かの間違いだよ!ボクは単なる旅人なんだってばぁ!!」
「何ですか、淑女が『ボク』だなんて!はしたないっ!私(ワタクシ)と言いなさい!」
「うぅ〜…;」
ボクはふて腐れて床に座り込んだ。

あの夜、制止も聞かずに飛び出したボクはゴツい黒ずくめの男の人達に捕まってしまった。
口を塞がれていたのでムームー叫んでいたら、薬をかがされて気付いたらこの部屋に居た…と言うワケ。
窓から見たカンジ、どうもココはお城の最上階近くの部屋らしかった。

あれから何日眠ってたんだろ…?
もしかしたらイヅキはボクを厄介払いできたとか思って帰っちゃったかもしれない!!そうだったら、どーしよう…
「さっ、出来ましたよ奥方。」
そうして何故だかドレスを着せられたボクがここに居るのだ。
「ねぇ、どうしてボ…私の事、奥方って呼ぶの?それってダンナさんがいる人の事でしょ?」
「さぁ…?そう呼ぶ様にと命ぜられておりますので…」
若い(…と言ってもボクよりちょっと上なだけ)世話係は困惑した表情を浮かべた。
「命ぜられた…?誰に?」
「わ…私、仕事がありますので…」
彼女はそそくさと出て行ってしまった…。
部屋に独りきりになると、ベッドに倒れ込む。
淡い、黄色のドレスの裾がふわりと揺れた。
「あぁもう!このドレス動きにくいよ!お気に入りのリボンも無くしちゃうし…!!」
手をそっとかざすと、腕輪には細い銀の鎖が絡まっていた。
側にあるイスが浮くように心の中で念じてみる。
「〜〜〜!!!」
ビクともしない。
「……最悪だ…。」
能力まで封じられてしまった…
 コンコン
「奥方、そろそろ国王との謁見のお時間ですので…」
「国王ぅっ!?」
そんなエライ人がいったいボクに何の用があるって言うんだろう?
「…判りました、すぐ行きます」
目的を確かめる為にも、ここはおとなしく従う事にした。
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