短文

□その時の話-迷子のイオン-(ig短編)
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このレストの村にすんでいるおれの名前はイヅキ。7才
昔おれがまだ赤ん坊の時に移住してきたよそ者だけどまぁトラブルも無く暮らしている。
特にキュロスさん家には家を貸して貰ったり世話になっている。セシリアって言う女の子も優しいしな
そのセシリアと遊ぼうかと家を訪ねた、だが…
「あらイヅキくん、ごめんなさいね〜セシリアはこれからピアノの練習なのよ」
と言うのでしょうがない
「ったくなぁ〜ゴッズは畑仕事だってのにセリも用事か;ルークはまだちっこいしなぁ…
あと他にダレかひまそーなヤツ…」
なんとなく今日遊ぶ予定だった森の方へ足を向けると、あるマモノの声が聞こえてきた。
「…ぷにぷに?集団で何やってん…わぁーっ!?」
『ぷにっ?』
『ぷーにぷーに♪』
普段なら数匹で行動するスライム系の下級モンスター、ぷにぷにが十数匹『何か』にたかっている。
色とりどりのマモノのすきまからのぞくのは、どうみても人の足。
「おいっ!お前大丈夫か!?」
木の枝でぷにぷに達を追い払いながらたずねるが反応がない。どうやら軽いショック状態のようだ。
 バシンッ
『ぷにぃ〜っ!』
「…ったく;」
少し枝先が当たっただけで泣き声を上げながら逃げ出すぷにぷに。もともとアイツらは数あるマモノの中でも最弱の部類だ。そんなのに気絶させられるヤツって…いや待てよ
「生きてんのか?コイツ…;」
いやまさかこのくらいで死ぬヤツなんか…
まだ小さい子ども(おれの2、3下か?)を枝でつつくと、なんともステキな事実が発覚した。
 ぐぎゅるぐる〜
「………」
「…腹…減ってんのか?」


「…早ぇ;」
おれの昼食代わりだったパンの最後の一枚をすばやく手に取ると、そいつはしばらく口をモゴモゴと動かしていた。
「なぁお前見かけない顔だな?」
 モグモグモグ
「なんだってあんな所で行き倒…」
 モグモグモグ
「何してた…」
 モグモグモグ
「食うのをやめろ!おれの質問を聞けっ!!;」
「Σ」
驚いた表情だったが素直にこちらを向く
「はぁ;お前、名前は?」
「……っ;」
「…答えろよ」
「…っ…!;;;」
こぼれ落ちそうな程に目を見開くのだが、肝心の言葉は反ってこない
「…まさか喋れないのか?」
おれがそう言うとそいつは悲しげにこちらを見る
「なら何してたんだ?散歩か?」
なかば冗談でたずねるのだが、目の前のコイツはこっくりとうなずいた。
「マジか;なんだってこんな何もない村に…」
ふと悪い考えが浮かぶ
「まさかお前…イムの村のヤツか?」
うちの村とは犬猿の仲の山を挟んだとなり村の名前を出すと、少し考えた後首を横に振った。
「そうか…ならどっから来たんだ?」
あっち、と指さす方向は…リンドバーク辺りか、見捨てる訳にもいかねぇしなぁ
「送ってってやるよ、どうせ今日はヒマだったからな」
横倒しの丸太から腰をあげたおれの袖を掴み、コイツは自分を指差し口を必死に動かしていた。どうやら名前を伝えたいらしい。
えー
「…『い・お・ん』
イオン?珍しい名前だな」
「〜〜〜;」
イオンはしばらく首をかしげていたが『まぁ良いか』と言った感じで立ち上がった
「おれはイヅキだ、行くぞイオン」
そうしておれの長い一日は始まった。
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