ごった煮部屋

□頂き物4
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窒息するように恋した



 死んじゃうかと思った。心臓がすごく痛くなって、喉がヒリヒリ痛くなって、息が出来なくなって、たまらなく、嬉しかったの。


「元気にしてたか」

 俺と似て目付きの悪いそれを優しく細めて、俺の頭を撫でるリョーガ。大きな手が懐かしくて、色んな思いで胸がいっぱいになったけど。リョーガの言葉に俺は、「うん」と頷くことしか出来なかった。
 たくさん聞きたいことがあって、言いたいことがあって、何から話したらいいのかわからない。ああこういうのを、もどかしい、ていうんだなって思った。

「…少し、歩かねえか」
「うん、いいよ」

 スッ、と差し出された大きな手。俺はそれに右手を絡ませて、体をリョーガにくっ付けた。どんな小さな隙間でも嫉妬してしまうの。今の俺は、きっと我が儘になっているのかな。
 俺に合わせて進む、優しいリズムが愛しい。地面を蹴る音も、頬を滑る風の温度も、辺りに生える木々の匂いも、すべてすべて。リョーガの隣にいるというだけで、宝物に思う。それって、とても素敵なことだよね。

「俺な、次会ったときは絶対ぇに、お前に言おうって決めてたことがあんだ」
「…え……、なぁに?」

 上に顔を傾ける俺に、リョーガは瞳を下に伏せてそっと笑った。さらりと靡く髪の毛が、空中で静かに泳ぐ。急に立ち止まったリョーガにつられて、俺も足を止めそして首をかしげた。

「りょー…」
「もう、」
「………?」

 リョーガ、と紡ごうとした俺の言葉を遮り、力強い声が鼓膜を揺さぶる。それは前に一度、どこかで聞いているような気がして。
 繋いでいた手を二人の間に置いて、リョーガはそれをもう片方の手でぎゅっと握った。熱い、熱くて、そこから何かが流れ込んできそう。肌を通り抜けて、リョーガの想いが俺の中心まで。

「――もう、この手を離さないよ」
(お前を独りには、しないから)

 そう、二重になって聞こえたのは幻聴なのか。儚くて哀しくて穏やかで、夕焼けの中にぼんやりと浮かぶ光のようで。じわりじわりと胸を侵食していく暖かなものが、俺のすべてを包み込んでゆくみたい。

「…っ…リョーガ……」

 あまりにリョーガの声が優しかったから、思わず喉が震えて。繋がっていた手を引かれ、大きな腕の中に捕まる。抱きしめる力が強くて苦しいはずなのに、それが心地好いなんて。
 脈打つ鼓動が聴こえる。大好きな人の、生きる声。いっそのこと、もうすべてが一緒であればいいと。俺を形作る細胞の一つ一つでさえ、リョーガと共有できたらいい。同じ、一つの存在になりたい。そうすれば、悲しくないから。独りだと孤独を感じなくていい、寂しさを味わうこともなくなる。そう、思っていたの。

「…こんなに長い間、待たせてごめん……でもその分まで、これからずっと離さないから」

 ――だから、お前の残りの人生、俺にくれよ。
 声になったその言葉は、ところどころ小さかったけれど。想いだけは、いっぱいすぎるほど俺に届いていたから。溢れだした希望と未来が、大きな路になって、きっと俺たちを後押ししてくれるよ。
 ねえリョーガ、だからそんな不安にならないで。俺もずっと、リョーガだけを想っていたんだから。いつかまた出逢えると信じて、この時この瞬間を待ってた。待って、いたんだよ。

「…うん…リョーガに、あげるから」
(ありがとう、リョーガ)

「二人で、たくさん笑おうね」
(永遠の約束を、ここに誓うよ)

 リョーガの先に見えた暖かい夕陽と、触れた瞳に見えた風が、俺たちを祝福するように微笑んで見えた。







「無知病的カルテ」水香。様へ相互記念として贈ります。遅くなってしまい大変申し訳ございません…!リョガリョというCP設定のみでリクエスト戴きましたので、こんな切ないお話になってしまいましたが、愛だけは…籠っています!こんなもんで宜しければ置いてやってください(>_相互本当にありがとうございました。これからもどうぞ宜しくお願いします!
「fairyland」晴日より。

20111014

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晴日様、有難うございました

晴日様のリョーマがいつも小動物的で可愛いなあと思ってます
あの二人は永遠の愛を誓ってしまえばいいです(o>ωこちらこそこれからもよろしくお願いします
 

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