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□約束…守ってね
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俺が、亜莉子のことを意識し始めたのは、いつからだっただろうか。
あんなに小さかったのに、亜莉子はいつの間にかこんなにも成長していて…。
今までみたいに、酒を飲みすぎだと叱られたり、些細なことで子供みたいに喧嘩し合ってみたり、
そんな馬鹿みたいなことをして過ごして行きたいのに、その今まで通りが最近分からなくなっていた。

亜莉子は日に日に大人びていく。
ふとした時に見せる笑顔や、仕草、表情、すべてが亜莉子から「女性」を物語らせた。
俺は姪としても、家族としても、亜莉子のことが心の底から大切で、
可愛いぬいぐるみが好きで抱いて寝ているような可愛らしい所も、体に悪いと言ってお酒や煙草、食事にまで気を使ってくれる優しい所も、
ちょっとしたことで直ぐに機嫌を損ねる少し怒りっぽい所も、実は涙脆い泣き虫な所も、ぜんぶ含めて大好きだった。
亜莉子は危なっかしくて、何かに悩んでもすぐ抱え込んで自分の内に秘めてしまう。
誰かに相談、なんてせずに全てを自分で解決しようとする。
「何かあったら俺に言えよ」と何度言い聞かせても、いつも「ううん、何でもない。ありがとう」と笑顔で言うだけで、
未だ一度も相談されたことはない。
それが一番の心配であり、それ故、亜莉子から目が離せなかった。



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