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□一緒にいてやるから安心して眠りな
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戦を終え皆が帰ってきたと聞いて、以前のお礼を含め祝いの品を渡しに酒宴を開いている伊達軍のもとを訪れた。
伊達軍…の治めている土地に私の村はある。
本当に小さな村だが、一度織田軍に攻められ壊滅しかけたことがあった。
もう全て終わってしまうのだと轟々と炎が燃え盛り村が灰塵へと変わっていく光景をただ見ていた。
そこに彼――伊達政宗様が現れたのだ。
蒼い雷迅と共に現れた彼は敵を薙ぎ払いこの小さな村を救ってくれた。
ただただその時の彼は私の憧れでしかなかった。
何もすることができず目の前に迫る危険さえも、大切な人でさえも守ることが出来ない自分の無力さが恨めしい。
悔しい。
安堵と同時に冷静になった思考に少しずつ入ってくる眼前の惨状に膝を落とした私に彼がゆっくりと近づき、こう言ったのだ。

「お前…伊達軍に来い」
その時は阿呆みたいに口を開けたまま呆けることしかできなかったが、後に月に一度村の内情を報告しに来いという事だと世話役の片倉様から聞いた。
そして、今に至るのだ。
最後に会ったのは二か月前。
いつものように報告に来ると、伊達軍は戦の準備でざわついていた。
そしていつものように政宗様に村の状況を報告すると、彼はいつもの勝気な笑みを口元に湛えたまま戦があるからしばらくは来るなと伝えてきた。
俺が勝って帰ってきたら報告に来いと。




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