Get to You -Part4- 【嵐 櫻井翔】 

□ちょっと、ヤダ
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「いい?」

聞かれて。

「いいよ?私も行きたい。」

手を繋いで。

交差点を渡る。

街の中には、色んな音が溢れているけれど。

一つ壁を隔てた場所に。

翔ちゃんと、2人だけでいるような。

そんな聞こえ方。

翔ちゃんの声だけが、耳にクリアに届く。

人の耳って。

ちょっとしたノイズキャンセラーが付いていて。

その人にとって、必要な音とそうでない音を。

ある程度、寄り分けて伝達するんだと。

聞いたことがあるけれど。

今の私にとっては。

翔ちゃんの声だけが、必要な音なのかもしれない。

大きな手に、引いてもらって。

大きな瞳に、見つめてもらって。

大好きな声に、優しく語りかけてもらって。

もう、本当に。

それだけで、夢みたいだと思えるのは。

普段、離れているからこそなんだろう。


午前中から入った映画館を、やっと出て。

夕方の時間だけど。

真夏の太陽は、まだまだ沈む気配を見せない。

沢山並ぶビルの中。

その一つに、入って。

目指しているのは。最上階の本屋さん。

私達の街にはない、大型書店が。

この駅前には、数件あるから。

何かの用事で、この街へ来る度に。

本屋さんの大好きな翔ちゃんは。

最後に、必ず寄って行きたいと言う。

目的の本が、あってもなくても。

所狭しと並ぶ本を、眺めて歩くのが好きみたい。
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