最遊記

□分かち合おう、その淋しさを。
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開け放たれた窓から暖かい風と共に桜の花びらが流れ込んでくる。
その光景に私は何故か淋しさを感じた。

「天蓬」
「何ですか?」

本に熱中していた天蓬。悪いことをした。

「桜、綺麗だね」
「そうですけど・・・どうしたんですか、急に」

普段こんなことを言わない私を不思議に思ったのだろう。

「いや、何となくそう思っただけ。気にしないで」
「・・・そうですか」

天蓬も私がおかしいのに気付いたのだろう。だけど何も言ってこなかった。きっと、淋しさが伝わってるから何も言ってこないだけ。天蓬はそういう男だ。

私の頬に冷たい雫。その後にまんべんなく、春の暖かさが伝わった。


それは、





分かち合おう、その淋しさを。

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