おおきく振りかぶって

□ささやかれた言葉は
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「ねえ、榛名。」
「何?」
「暇なんだけど。」
「へー残念。俺は暇じゃねえ。」
「そうだよね〜。 磨いてるもんね〜。」
「おう。」

私は横目で元希を見た。 一生懸命グローブを磨いている。
おもしろくなっ!!  何か、元希の驚く顔が見たい・・・。
そうだ!!

「元希、今から言う言葉、ちゃんと聞いててね。」
「おーう。」
私は一呼吸おいて、言葉をはっした。
「好きだよ。」
「おーう。 ・・・・・・・は?」
ボトッとグローブを落とし、驚いた顔でこっちを見た。
「やった!驚いた!」
「おまっ!今何て・・・」
「?聞いててっていったじゃん。好きだよって言ったの!」
「〜〜〜///。 突然すぎんだろ!?」
「だって、元希の驚く顔が見たかったんだもん。 てか、顔真っ赤。 元希らしくな。」
「うっせえ!!お前が好きとか普段言わねえのに、突然言うから!!」
「だって、元希が言ってくれないから。」
私は拗ねたふりをしてソッポを向いた。
「・・・・分かった。言えばいんだろ、言えば!」
「じゃあとびっきり愛情こもったやつ、お願いしますよ。 元希くん?」
「ああ。いいぜ。」

元希は腕をのばし、私を抱きしめた。 私も元希の背中に腕をまわした。

「     」

そっと耳元でつぶやかれた言葉は意外な言葉で、今度は私が驚いた。

「これでおあいこだぞ!」
ニッと笑って、グローブを拾い、また磨き始めた。上機嫌で。
「(〜〜〜/// その言葉は無しでしょっ!?)」

囁かれた言葉は

「(愛してる、とか、ズルイ・・・)」

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