NARUTO

□貴女がこの想いに気付くことは
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痛い、いたい、イタイ

何故こんなにも心臓が痛いと叫んでいるのか。

「姉さん・・・」

その意味を俺は知っている。

多分“失恋”というものをしたからだろう。

「本当に兄さんの事が好きだな、あんたは」

兄さんに向けるあの優しい笑顔。もちろん自分にも笑顔は向けられる。だが、それとはまた違う愛しいと思う笑顔。

「兄さん、あんたは幸せ者だな。羨ましいよ」

忍術の才能にも自分より恵まれていて、姉さんとは恋仲で、何時も俺はその2つの背中を追いかけることしか出来なかった。
それでも名を呼ぶと2人は振り返り、優しく手を差し伸べてくれる。とても誇りに思う。でもそれと同時に羨ましさ、妬ましさが芽生えた。

「(2人は優しすぎる)」

だからたとえ黒い感情が膨れてきても恨む事なんて出来なかった。あの優しい笑顔と声に掻き消されてしまっていた。

だけど今回はその感情が消えることはなかった。


(サスケ、俺達結婚することにしたんだ)


“結婚”

その単語を聞いたとき、俺の心は軋みを上げた。痛い痛いと。
何時かはこの時が来ることなんて分かっていた。だがいざその時が来ると心が拒否するのだ。

俺に報告をした時の兄さんと姉さんの笑顔は忘れない。
嬉しそうに照れくさそうに笑う兄。その隣で恥じらいで頬をほんのり赤く染め、こちらも嬉しそうに小さく綺麗に笑う姉。

嗚呼、やっぱりお似合いだな。と幸せそうに笑う2人を見て思った。


(おめでとう、兄さん、姉さん)
(ありがとう、サスケ。とっても嬉しいよ)


ありがとうと笑って言う姉さんの笑顔は俺の黒い感情を癒すことなんてしてくれなかった。


「ずるいんだよあんたは」

分かっていた。兄さんに勝てないことも。姉さんに好きだと言えないことも。
優しすぎるから、逆にそれが痛くて堪らない。

「・・・大好きだよ、姉さん。兄さん、あんたにはやっぱり敵わねぇよ。マジ2人とも“大嫌いだ”」

そんな言葉を吐き捨てても誰も聞いてはいない。






「羨ましいよ、大好きだ」


今日もイタイと俺の心臓は叫びを上げる。

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