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□学怖
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彼女が可笑しいのはいつものことだが(失礼だけど)今日の彼女はいつも以上に可笑しかった。
具体的にと言われたら困るがとにかく可笑しい。話しかけても上の空だし挙動不審だしなんか落ち着きがない。
だから、どうしたんですか?って、僕は聞いたんだ。
「…なにが」
しかし彼女の反応は思った以上に冷たいもので、眉間に寄ったシワがいかにも話し掛けんなと言わんばかりだ。
「えっ、いや、なんかそわそわしてるっていうか…岩下さんにしてはやけに落ち着きがないっていうか…」
もしや機嫌が悪いのか?と話し掛けたことに少し後悔しながら僕は慌ててわけを話した。
すると彼女は少し驚いたような顔をしてぱっと顔を背けてしまった。
え?なにか変なこと言ったか?
僕は慌ててとりあえずすみませんと言い足しといた。
しかし、今日の彼女は本当にわけが分からない。いや、僕の頭が弱いだけかもしれない…かも。
「なんで謝るの?
別に、貴方はなにも悪いことをしていないわ」
顔は未だに背けたままだが、さっきよりも口調は柔らかくなっていたことからどうやら怒ってはいないようだ。
僕は安堵の溜息をつきながら、やっぱり彼女は可笑しいと心の中で苦笑した。