book*akb 2

□政権交代 前編
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「いわゆる、アレですよ。自分ばっかり気持ちよくしてもらって、申し訳ないってやつ‥」

3杯目のアルコールに手をかけたわたしは、自分よりも早いペースで呑んでいる優子ちゃんに悩みを打ち明けた。

「なるほどね〜」

「わたしまだあんまり馴れてなくて、緊張しちゃうし‥佐江ちゃんを感じることだけで精一杯になっちゃうの」

「そっか」

正直、お酒が入っていなかったら言えなかっただろう。それに、優子ちゃんだからこそ相談できたことだ。

「うーん、じゃあ手っ取り早く、ゆきりんが佐江を抱けばいいじゃん」

「えっ?」

「たまにはいいんじゃない?政権交代」


政権交代?

わたしが佐江ちゃんを?佐江ちゃんがわたしに?考えたこともなかった。

でも、悪くないかもしれない。またもや脳内でエロティックな妄想が花を咲かせた。


「じゃあ逆に‥こじはるさんからせめることって、あるんですか」


「えっ?あるよ、たまに」


またさらりと仰いましたよ、この人は。



っていうか、そうだったのかー!え?それってあのこじはるさんが、優子ちゃんを組み敷いて鳴かせちゃったりしちゃったりしてるって事ですか?わーん!やばいよ、大人過ぎるよ『こじゆう』。さすがアダルトだよ。やっべぇ、わたし頑張らなきゃ。って何を?何を頑張ればいいの!?わかんねー!でもなんか頑張れ自分!


「思考回路はショート寸前とは、この事か」と思った。



こうしてわたしは、酒に酔った優子ちゃんからもらったアドバイスを真に受けてしまったのだった。


「爪だけはちゃんと切っとけよ」


という捨てぜりふを無駄に格好良く吐いて、彼女はタクシーに乗って夜の街に消えた。





to be continued


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