book*akb 2
□サイレント 2
1ページ/2ページ
バスが発車する前にブランケットの下でこっそり繋いだ手は、まだしっかりと繋がれたままだった。
どこまでが自分なのか、どこからがあなたなのか、解らなくなってしまいそうになる。
暖かい。けれど、暖かいのはあなたなのか、それとも自分なのかさえよく解らなくなってきた。
腕時計の短針はちょうど1と2の真ん中くらいを指していて、ここから見える限り、まわりのメンバーたちはあなたも含めてすっかり夢の中だった。
さっき飲んだミルクティがいけなかったのかもしれない。わたしの目は冴えきっていた。
結露して白く曇った窓にふと目をやると、案の定、何という生き物なのか到底わたしには理解できない、おそらく動物であろうイラストが描かれていたから、笑ってしまいそうになった。
あなたはよくこの類の絵を「くまさん」やら「にゃんにゃん」と言って描くのだけれど、お世辞にもうまくはないし、上達の兆しもはっきり言って皆無だ。今日のこの絵だって、熊にも猫にも見えない。どちらかというと火星人である。