book*akb 2

□政権交代 後編
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今朝は少し寝起きが悪かった。というのも、昨夜の優子ちゃんとの談話後、ベッドで色々と思考を巡らせているうちに眠れなくなったからである。

軽く伸びをして、コーヒーを啜りながら楽屋内で収録用の台本を開いていると、目の前でひらひらと手を振られた。


「ゆきりん、おはよっ」


「う、わっ!佐江ちゃん。お、はよ」


大きめの黒縁めがねをかけて、ボストンバックを肩に担いだあなたはにこっと笑って、一瞬、目を細めるようにして微笑むと、わたしの頭にポンと手をおいた。会うのは久しぶりだった。

その笑顔と行為に愛おしさを感じるとともに、昨夜眠りにつく前に散々励んだ妄想、もとい、イメージトレーニングが思い起こされて顔が熱くなる。


わたしの真横に腰を降ろしたあなたの指と、わたしのそれが触れた。いつもこうなのだ。誰にも解らないようにさり気なく触って、安心感を与えてくる。


「ねぇねぇ」

耳元で紡がれる甘い声に、少し期待してしまう。



「右隣の楽屋、行ってて」



「‥わかった」

時折あなたは、空の楽屋にわたしを招く。何を話すわけでもなくただ、お互いの欲望のままに求め合う。罪悪感にかられながらも、その時間が決して嫌いではなかった。むしろ永遠を望んだ。
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