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□星屑とロマンス
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†佐江side
漆黒の夜空には、無数の星が降り注いでる。
流星群は壊れた彗星のかけらだと聞いたことがあるけれど、その煌めきが地球に届くまでに、実は何億年も経っていて、ほんとはもう消えてなくなっている星ばかりらしい。
なんかそれってむちゃくちゃ不思議だ。
宇宙の神秘。なかなか気になるところである。
東京とはまるでちがう、この澄んだ空を背景にたくさんの流れ星を見ることができたのは、相当ラッキーだったと思う。
それも、あなたと二人だから余計に特別なのだ。
「それでどうなの、お天気お姉さん。明日の天気は大丈夫そうなわけ」
「たぶんね」
撮影のためやってきた地方のホテルで、わたしとあなたは同室にあたった。
少し厚着をしてテラスに出ると、ちょうど無数の流星群がやってきたのだ。
「見て、りんちゃん。すごいよ。ほんとに流れてく」
「うん、きれいだね」
「そうだね」
「‥佐江ちゃん、そこはさぁ、『きみのほうがきれいだよ』って言うべきじゃなあい?」
「なあい?」のところを、あなたは首を傾げて実にかわいらしく言って見せた。
「‥あ、そっか」
二人で目を見合わせて声に出して笑うと白い息が闇に溶けてゆく。
「りんちゃんはきれいだよ、他の誰よりも」
わたしはあなたの手を握った。
もちろん、指をからめるやつ。恋人繋ぎのほう。
「あはは、口説いてるの?」
あなたは、わたしの肩に頭をあずけた。
「まぁ、そんなとこ」
幾度となく手を繋いできたのに、触れるだけで未だにドキドキするわたしは意外と純情だと思う。