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□嫉妬の塩梅 後編
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「ほら、もう泣き止んで?」
耳元で囁かれると、なぜかまた涙腺が緩む。
はっきり言おう、わたしは耳が感じやすいのだ。
無論あなたは
それをわかってやっている。
耳朶を甘噛みして、なかに舌を入れられると、もう、あなたのことしか考えられなくなった。
「ひ‥ぁ‥」
首筋を舌でつーっとなぞりあげられる。
唇を塞がれた。
あなたはキスに時間をかける。
いつも、これは変わらない。
愛されてるなぁ。
とか、無性に感動すらさせるほど甘くて優しくて、
決していそがない口づけに、ついつい酔いしれてしまう。
もっとくっついていたくてあなたの首に手を回すと
「陽菜にそれされると、そそられるんだよ〜」
と、チョコが溶けるように笑った。
また涙腺が刺激される。
あなたは、罪だ。
キスだけじゃない。
今日のあなたのセックスはスローテンポだった。
噛み締めるように、確かめるように為されていく行為ひとつひとつが、わたしをうっとりさせる。
「脱がすよ?」
「‥ん」
肌と肌が触れる感触は、とても心地よい。
それを教えてくれたのも、あなただった。
胸の突起に舌を這わせ、舌の先で円を描くように愛撫された。
ときおりちゅっと音を立てて吸いながら、目を閉じて、これもまたゆっくりと、丁寧に味わうあたり、あなたらしい。
特にわたしが泣いたとき。
あなたは必ず、壊れ物を扱うように優しく抱く。
まったく、逸脱だ。
こういう日は、絶対言葉攻めなんてしてこない。
かわりに、時折頭をなでられる。
あなたは、優しいんだ。