book*akb
□雪と体温
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外にでると、雨は雪に変わっていた。
もう、うっすらと積もりはじめている。
「ねぇ、こじぱ!雪だよ雪!」
「うん。雪だね」
あなたを意識し始めて、この甘ったるい感情を知ったのも、
ちょうど今と同じ季節の頃だったことを思い出す。
真っ白な雪がふんわりと街をメイクアップする、
そんないつかの冬に思いを馳せた。
ああ懐かしいな、なんて目を閉じる。
ひんやりして痛いくらいの空気を、
鼻でゆっくりと吸い込んで、吐き出した。
白かった。
あのね、息が白くなったら10℃以下で、
鼻息が白くなったら気温は5℃以下らしいよ。
とかなんとか、あなたが以前言ってた気がするけれど、
それが本当なのかは、ちょっとよくわからない。