book*akb
□hero
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それは唐突な感情だったとは言い難いかもしれない。
「にゃんにゃん、大丈夫?重そうだね」
あなたはそう、よく気がつく人だ。
重い荷物をかわりに持ってくれた事もあった。
「大丈夫だよ、別に‥自分でできる」
「いいからいいから。佐江にまかせてよ」
最後にニカッと笑顔を見せたあなたは、文句なしに格好よかった。
短い髪がよく似合っていた。
あるときは、至近距離で名前を呼ばれて抱きつかれる。
それはなんかもう、ちょっと深刻なくらい心臓に悪かった。
「もうー、やめてよ!」
ほんと、バクバクするから。
照れるから。
「なんか、顔真っ赤!かわい〜」
「ち、がうもん!」
「あはは〜」
無自覚‥というか天然は、
時に残酷である。
悔しいけれど、いつの間にか少し、あなたを意識するようになった。
全く想定外である。