歌書物

□通り雨
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無理矢理笑みを作れば、そうかと三成は短く答え外を見る。



気が付けば雨は止んでいた。

「止んだな」

「えぇ……」

残念に思いながら握っていた手を緩めると、三成が力強く握りしめてきた。

「殿?」

「このまま……」

驚いて三成と握られている手を交互に見る。頬を紅くし、口を尖らせながら三成は言う。

「今日はこのままで、帰りたい……」

そんな三成の願いに左近は大きく頷いた。

「では、このまま帰りましょうか」

笑顔を向ければはにかみながら三成は小さく笑った。




今の自分には三成がいればそれでいい。
手を引けばちゃんとついてきてくれる三成を感じながら、左近はぽつりいと呟いた。

「殿、ずっと側にいますから」







あなたにはあたししかいないなんて
そんなことは到底言えないけれど
今のあたしにはあなたしかいらない
見えない気持ちを信じて言える
暖かい夏の始まりそうな
この木の下で結ぼう
手を引くあたしに
笑ってついてきてくれる
それが二人の形
aiko 「二人の形」
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