ガンダムSEED・DESTINY

□俺の欲求不満原因
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 結婚して早くも一ヶ月――まだ新婚ラブラブだよー(ハート)みたいなこの時期に大きな問題が俺を襲った。





「え? シン、それ本気で言ってるの?」


 キラさんが飲みかけていたコーヒーを口に運ぶのをやめて、そう言った。

 その仕草に俺もちょっとつられて一時停止したあと、またゆっくりと口を開ける。


「……本気、ですけど」


 風に消されそうなくらい小さめな声を出したら、今度はキラさんの横に座っていたアスランに溜め息をつかれて、俺はちょっとだけムッとする。

 相談させてもらってる身だから声を荒くするつもりはないけど、人の相談事に溜め息つくなよな。

 目の前に用意されてるコーヒーを眺めるように一度見て、そのあとにアスランを見れば、その顔はもう呆れてると言わんばかり。

 言いたいことあるなら、さっさと言えよ。くそ……、こうなったら視線で訴えてやる。

 睨み付ける体勢を俺は取ろうとしたけど、それより早くアスランが話をする体勢に入るから、仕方なく俺は黙ってアスランへと目を向けた。


「結局、シンが奥手だってことだろ? それに関してのアドバイスなんて、頑張れ以外にないと思うが」

「何でアンタはいつもテキトーなアドバイスしかできないんですか?」

「なんだ、その態度は? アドバイスを聞きたいって言い出したのはオマエだろ。なんで喧嘩腰なんだ」

「もういいっすよ。アスランさんのアドバイスって役にたたないし」

「なっ! 聞いておきながらっ」

「気合いや根性とか、そんなアドバイスはいらないんですよ。俺が欲しいのは具体的なアドバイス。もういい、アスランさんには聞きませんから」

「あー、そうか。ならキラにアドバイスしてもらえよ。そっちの方がどうかと思うけどな」


 何でこの人はいつもこんな感じなんだよっ。

 もういい。アスランには二度と相談するもんか。俺にはキラさんもいるし、金輪際アスランには相談しない。

 とりあえずコーヒーを飲んで落ち着こう。

 ゆっくりと口までコーヒーを運んで、それをソーサーに戻す。それと同時に、俺はキラさんへと目を向ける。


「キラさんはどう思いますか?」

「んー……。僕はシンがリードすれば良いと思うよ」

「え?」

「だって言ってしまえば、シンがステラを襲いたいってことでしょ?」

「あ、いや……。は、えっ……」

「ごめん、表現が悪かったかな?」


 悪いというわけではないけど、もっとオブラートに包んでほしいというか、直接的すぎるというか。

 なんか気恥ずかしくなるだろ、そんなふうに言われると。

 あー、暑い。たぶん、今の俺、顔が真っ赤になってるよ。うん、絶対に。


「じゃあ言い方を変えるね。シンがステラを性的な目で見てて、それを実行したいけど悩んでるってことだよね」


 さらに直接的になってるっ!


「キラ、もう少しオブラートに包めないのか?」

「そうは言うけど、アスラン。物事を遠回しに言って、もし伝わらなかったら意味ないよ。言葉は正しい意味で伝わってこそ、理解できるものだから」

「そりゃそうだけど、な。もう少し言葉を選んで――」

「僕的には、ステラと一緒にベッドへ入ったあと、抱き寄せてキスして、そのままさりげなく服を脱がせば良いと思うよ」


 今、さらっとすごいこと言ったよな、この人。しかも満面の笑みを浮かべて。

 こういう人だからクライン議長と釣り合うんだろうなあ。

 ……あ! 感心してる場合じゃない。何か答えないと。せっかくアドバイスをもらったのに、無音なんて失礼すぎる。


「それが出来れば苦労はしないんですよ」

「……なんで?」


 なんでって……。アスランもアスランだけど、この人もこの人だな。

 いや、いいけど。


「あー、えっと……その。なんかステラにそういうことをしていいのかなって思っちゃって。なんか天使をこじらせて、人間だけど天使に近いステラに、そんなことしたら天罰食らいそうで」

「天罰って……。シン、考えすぎだと思うよ」

「……だな」

「だって、すっげーふわふわしてるんですよ! 結婚式で誓いのキスをしていいのか、悩むくらいにふわふわしてるんですよ!」


 あー……叫んだらちょっと疲れた。


「シン。とりあえずは落ち着け」

「じゃあ聞きますけど、アスランはそのオーブ代表とそういうことってあるんですか?」

「え、あ……。急に何をっ……」
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