ガンダムSEED・DESTINY
□Verita stellare 番外編
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――Verita stellare 番外編 シンside――
あれからしばらく経って、ステラの容態はかなり落ち着いた。
医者の話によるとシンが訪問するようになってから、容態が激変して、今まで以上に病状は良くなっていっているらしい。
それを共に聞いていたキラが「もっと早く会せれば良かった」と苦笑すると、その横にいたラクスが「私は何度も早く会せましょうと言いましたのに……ね?」と笑っていて、そんな二人の仲睦まじい様子にシンも思わず一緒になって笑っていた。
その二人の顔は本当にステラの回復を喜んでいて、それを見ていてシンもまた幸せな気持ちになった。今までのわだかまりも解けて、何だかとてもすっきりとした、天気で表すなら快晴という感じだ。
シンは横になっているステラの側に座りながら、思わずその時のことを思い出し笑った。
突然のシンの笑いにステラはやや不思議そうな表情を浮かべて彼を見る。
その表情を見て、そういえばステラはあの時その場にいなかったので、このことを知らない。「シン……?」と問いかけるステラの瞳を真っ直ぐと見つめて、シンは口を開いた。
「ごめん、ちょっと思い出し笑い」
「思い出し……笑い?」
「そう。キラさんとラクスさんが……。 えっと、おれがここに初めて来た時に一緒にいた、茶髪の男とピンクの女の人、……分かる?」
言った後で、どういう説明の仕方か。これではステラも分からないだろうとシンは自身にツッコミを入れるが、ステラは「分かる」と小さく頷きを返した。
「わかる、ピンクの人……」
茶髪のキラは憶えてもらえていないのか、と思いつつも、シンは「分かるんだね」と言葉の理解を示した。
そして先程の会話の続きを口に出す。
「あの二人は恋人なんだ。それですごく仲良くてさ、おれもス……」
――おれもステラとあんなふうに……。
そう続けようとしたが、シンは自分が言おうとしていた言葉を頭で再生して、思わずその口を止めた。
微かに染まる頬。けれどもステラはそれがよく分かっていないのか、寝たままで小首を傾げている。
その仕草がいつも以上に愛らしく見えて、自分はステラを汚そうとしているのだろうかというわけの分からない感情が心に広がった。
そんな嫌らしい気持ちがあっての台詞ではない――いや、全くないというのもまた違うのだが。
自分は知らない間に随分と男になってしまったのだなと思うと、シンはさらに頬を染めた――自分で認めてしまうほど、ステラのことを女として見ている己に。
パニック寸前の頭を振って、シンは「と、とにかくっ」と焦った口調で切り出す。
「その人達がね、ステラの体調が良くなったのを喜んでて、それでおれも幸せだなって」
ステラは一度きょとんとした顔を見せるが、すぐに笑顔になりシンへと言葉を返した。