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帽子屋がついてきてからと言うもの、とても賑やかになった。
というか、帽子屋が1人で話しているだけだけど。


「いいかいアリス。女王にみつかったらいけないよ。首を跳ねられてしまう。」

「双子もそんなこといってたわ。
どうして、そんなひどいことするの?」

「女王だからさ。」

「女王だからそんなことするの?」


この世界ではあたりまえなの?
いや、そもそも女王なんか日本にいないしなあ。


「心配しなくても大丈夫。
アリスは僕が守るから。」


そう言って、手を差し伸ばされ、ニコッとされた。
そんな帽子屋に少しだけときめいてしまったのは、墓場までもっていこう。


「あ、ありがとう。」

手を取ってみる。


「ところで、この辺りに白うさぎの家があるんだが、いってみないか?」

チェシャ猫が久しぶりに口を開いた。


「白うさぎは街へ行ったんじゃ?」

「もしかしたらだよ。
通り道だし。」

「……。」


チェシャ猫は黙ってしまった。

「まあまあ、少し様子見にいくのもありじゃない?」

「アリスキミが望むなら。」


チェシャ猫なんか機嫌悪いのかな。帽子屋と仲悪いとか?


「とりあえず行ってみよ!」









張り切って来たのはいいものの。
白うさぎの家とはなんなのだ。
うさぎに家があるのか?
いいご身分だな。


「どうやら留守みたいだ。
鍵はあいてるけど。」


白うさぎの家は可愛らしい小さなサイズになっている。
どうやら中にはいないようだ。

が、不法侵入している帽子屋、
について行くわたし。


「帽子屋、大丈夫なの?」

「平気さ。
白うさぎは恐らく城にいるんだ。帰らない。」

「でも、。」


うさぎの家はさっきまで人がいたかのように食べ物がテーブルに並んでいたりした。
とても美味しそう。


「あ、このクッキー美味しそう。
スコーンもある!」

「アリスは甘い物が好きなのかい?」

帽子屋は中を見回しながら言った。

「うん、とてもね。
甘い物には目がないの。」


一個食べてもバチ当たらないかな。
わたしが手を伸ばした瞬間、チェシャ猫がアリスと呼んだ。


「およし。」

「な、何が?」

「つまみ食い。」

「し、しないよ!」


と、言ったが今まさにつまみ食いをしようとしていた。
一個ぐらいいーじゃん。


「一つぐらい許してやれよ、チェシャ猫。」

「…。」


チェシャ猫は黙って外へ出て行った。
フードかぶってるから表情が読めなかったけど、機嫌はよくない。
ちょうどお腹空いたし食べちゃおっ。

「いただきまーす。。おいしー!」

まさに美味!
もう一個〜
パクリ。

「ん、おいし!」
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