ぎゃくせつ

□24、エンジェルさん
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「Petrificus Totalus」


ブルーを攻撃した。
全身金縛りだけど、床に倒れた音はとても痛そうだ。

すぐに冷たい床から起こしてやる。
ぴくりとも動かない彼を腕に抱くと、それだけで満たされた。
横抱きにしたため彼の頭が近くにある。

本当に信じられない。
あの子が僕の腕の中にある。

温かい。
決して柔らかいわけではないが、抱き心地がいい。
もう離したくなくなる。


「やめなよ、変な期待するの。君みたいな奴を助けるほど他人様は暇じゃないんだ」


何かを考えてる風なブルーに向かって言う。
今の状況だと、助けを求めている筈。

僕は彼に秘密の部屋へ招待すると告げた。
少し意地悪な言い方になってしまったが、そんなことどうでもいい。
ブルーが怯えていた。

――求められているのは間違いなく“本体”だ。

そんな思考……絶対に許さない。
“僕の許可は必要ない”なんて言わせない。
あの子についての全ての権利を手に入れてやる。

大好きで愛してる故の事だ。
優しいあの子は苦笑しながら了承してくれる。

三階の廊下に差し掛かり、ふと僕はある台詞を思いついた。
ずっと、言いたくて言えなかったこと。
そして気付いて欲しかったこと。


「ブルー、僕は知ってるよ、君のこと」


なんでも。
そういえば、一昨日は寝る前にファッジを食べてたね。


「君はいいね、いい子だ。過去の僕も未来の俺様も愛してくれる。いい子だ」


だから、嫌なんだ。
どうして僕だけを見てくれないんだろうね。
同一人物ではあっても、同一個体ではないのに。

けど、あの子が好き。
だから困る。

君に対しての感情の整理が追いつかない。
だから、僕は君に粉砕呪文や切り裂き呪文を唱えるかも知れない。
脚を切り落とすかも知れない。

――たぶん、大丈夫だよ。
自制が効く筈だ。


(痛いと泣いてよ)

 

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