最遊記


□声
1ページ/2ページ

 【1】

 それは、静かな静かな、夜に起きた事から始まった。
 隣の部屋から聞こえてくる声・声・声。
 〈声〉にも色々な種類があるが…。
例えば、怒鳴り声、叫び声、話声、歌声。
 そして、喘ぎ声。
 毎日毎晩と聞こえてくる艶やかな悟空の声に、ついに怒りを露にする八戒。
 如何に大地のように広い心の持ち主である八戒とて、堪忍袋の尾が切れちゃいますよーってな感じであった。
 「毎度毎度…どうにかなりませんかね…」
 いつも穏やかな八戒らしからぬ、握り拳をプルプルと震わせる。
 「悟空は何で、あんな鬼畜坊主なんかとヤルんだぁ」
 ヤルなら俺とヤレ!と、嫉妬混じりの悪態をつく悟浄。
 「あ〜ん…」やら「ひっ…ああー…」そして、「イッちゃうー…!」と、
 しまいには啜り泣きさえ聞こえてくる三蔵と悟空の情事。
 「きっと三蔵は、わざと僕達に聞こえるように、悟空を苛めているんですよ」
 「鬼畜坊主だけじゃなく、変態か…」
 枕を足の間に挟み、煙草をプカプカ吹かす。
 「横取りされたくなくて、牽制しているんでしょうね」
 まるで壁の向こう側が見えるかのように、じーっと見つめる八戒。
 「チェッ。何とかならねーのかぁ?これじゃぁ、寝不足だぁぁぁ!」    
 悶々悶々悶々…。
 「畜生ー…!俺もヤリてー!」
 悟浄の長い指が、髪をくしゃくしゃにかき回す。
 「下品ですよ、悟浄」
 呆れ口調でもって、ハァ〜と溜息も一緒に吐く。
 「うっ…。オマエだってヤリたいくせに…」
 そう言って、八戒を見上げた悟浄の表情が、見る間に凍り付いていった。
 「何か言いましたか、悟浄」
 ニコーッと満面な笑顔を向ける八戒。
 「ー…いえ…。何も…八…か…い?」
 腕を組んで、何か考え事をしている様子の八戒。
 ークスッ。
 「良いことを思いつきました」
 (これはヤッパリ、仕返しでしょう)
 「ー………?!」
 (ち…超ーこえぇ〜…ぜってー…コイツだけは、敵に回したくねぇー…)
 不敵な笑みを浮かべている八戒の姿に、そう思う悟浄だった。
                                      続く★


SEIの最本は悟空総受けとなっております・笑
皆に愛され・・・、狙われております…
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ