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□もしも後輩ならば
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「…先輩」
「なーに、総悟くん」
「総悟って呼んでくだせェ」
「…何かしっくりこない」
1つ年下の彼は私を後ろから抱き締める。
ここは誰もいない教室。聞こえるのは運動部の声とカラスの鳴き声、そしてわたしたち二人の声。
「俺のこと、好きになれやせんか?」
「んー、わかんない」
「絶対、振り向かせてやりやすから」
「ははっ、待ってるね」
彼の表情は見えないが、切なさが伝わるのを感じた。
「絶対、俺だけしか見えねぇように」
「独占欲強いんだね」
「先輩だから、でさァ」
「…ありがとう」
彼の腕を優しく離して、彼と向き合う形をとった。
私は感情の読みとれない微笑みを見せる。
「総悟くん」と名前を呼んで、頬に手を伸ばしたら、彼は照れ臭そうに口元を緩ませた。
仕方なく君を抱きしめる
(好きか嫌いかも分からないまま)
・お題
空想アリアからお借りしました