短篇の詰め合わせ
□言えない言葉なら
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「あのさ、沖田」
「ん?」
「す、す…スペイン行ってみたいねぇ…」
「別に」
「…えぇと私、沖田のこと…す、スリッパって呼んでもいいかな?」
「殺されてーのか」
「…っ、…あ、あの、ええと私、沖田のこと―――ん」
彼の顔が近付いたかと思えば
その瞬間、距離が0になった。
かわいらしい小さなリップ音が響く。
「好きって言いたいんだろ?」
「な、!ち、ちがうもんっ」
「嘘ついてんの、バレバレでィ」
「…う、嘘なんか」
「ほら、言えよ」
「………………」
「言えよ」
「………す、」
「…す?」
「す、好きっ!沖田が好き!だいすき!」
ニヤニヤして問われるもんだから
腹が立ってつい言ってしまった。
一瞬にして耳まで赤くなる。
「有り難く思え、俺もお前が好きだ。」
―――言わぬなら言わせればいい、強引に
(この、ドS…!)
(褒め言葉として受け取っておきまさァ)