点と線で恋。
□悔しいけど
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19品目!
悔しいけど
『私は相馬さんに、弱みを握られたかも知れない…!!』
ガタガタと震えた手、身体、精神。今までにない感覚。
相馬さんは私の弱みを握ってないって言ってたけど、初めて掴んだ弱みが自分を好きなことってどうなの。弱みを掴まれてしまった。
私は相馬さんを好き、それを相馬さん本人も知っている。この上ない恥ずかしさ!しかもそれを種に、からかってくるとは…。予想外、不覚!最大の弱み!屈辱!
パリーン!
『ぎゃぁあー!割れた!皿が割れた!!』
「おっ、落ち着いてあえり!」
ビシャ!
『みっ、水が零れたぁあ!!?』
「拭けば大丈夫だからっ!」
***
「…どうするんですか。真城先輩、挙動不審になってますよ」
「飯は食わねぇし」
「様子がいつも以上に変です」
「ああ。飯は食わねぇし」
佐藤君と小鳥遊君は、様子がいつも以上に馬鹿なあえりちゃんを哀れんだ目で見ていた。俺も笑ってその様子を見てたんだけど、二人が軽く睨んできた。
「「誰のせいだか」」
「えっ!俺のせい!?」
ちょっ、二人の視線が痛いんだけど…。本気で。
「まあ…俺のせいかな」
「自覚してるならどうにかして下さい。このままじゃ、真城先輩も店も死にますよ」
「いや〜、大丈夫じゃない?」
「と言うか相馬さん、真城先輩の事好きなんですよね?知ってたけど、佐藤さんに聞きました」
あれ、小鳥遊君も知ってたんだ。俺って結構分かりやすいのかな?いや、それはないと思うんだけど。
「それにしても、好きな相手から告白されたのに振るって…」
「振ってないよ、一応」
「どんだけSなんですか…」
「極悪人」
「さすがに引きます」
「えぇ〜」
二人の視線が本気で俺に哀れみの目を向けてる。引くって…、酷くない?
でも確かにやりすぎ?けどやっと掴んだあえりちゃんの弱みだよ、からかいたいじゃない。
実際、先日の「振り向かないかもよ?」って言った時の泣きそうな顔は、物凄く可愛くて。予想外だった。いつも笑顔を絶やさない彼女の泣き顔はレアそのもので。…まぁ、付き合えばそんな事もずっと出来る訳なんだけど。
なんて言うかな、あのアホ面だけど黙ってたら普通に美人で可愛いし、泣いてたらより一層際立つ。もうギャップって言うのかな、アレ。
「あえり!それお盆じゃなくてまな板だよっ!」
「ギャー!?白目向かないでっ!」
ただ、あえりちゃんが壊れていってるのは事実。確実に破滅へと進行してる。
そんな姿も、
「あははっ、面白いなぁ」
「佐藤さん!相馬さんが何か恐ろしい事を…!」
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