点と線で恋。
□甘くないパフェ
1ページ/2ページ
16品目!
甘くないパフェ
今なら言える…この気持ち、今なら伝えれるはず。
ずっとずっと溜め込んで来た気持ちを。素直に、真っ直ぐ、全部。
『そっ、相馬さん…!』
「どっどうしたの、そんなに慌てて…」
きっとゼーハーと息を荒くしているからだろう。畜生!短い距離を全力で猛ダッシュした意味は一体何だったんだ!
とりあえず息を整えなければ!と思って、深呼吸を繰り返していると相馬さんがにこやかに話してきた。
「それで、佐藤くんに告白するか決めたの?」
刹那、私の肺は一気に空気を溜め込んだ。
そしてそれを少しずつ、吐き出していった。
「佐藤くんも罪だよねぇ。轟さんを好きでありながら、他の女の子に好かれる真似をするなんてさー」
『……、か……』
「?」
『相馬さんの馬鹿!!』
「うわぁ、本当いきなりだよね」
何事にも応じないこの態度。態度がムカつく。
『ははっ、もういいよ』
「え、何が?」
『うふふ』
何を言っても佐藤くん、佐藤くんって。
私は優しい笑みを浮かべた。そして次に、
『何で自分の事はそんなに鈍感なんだよ馬鹿!』
物凄い怒り顔に満ち溢れたであろう。
相馬さんの首を絞めながら叫ぶ私。これでも力はある方だ、相馬さんは苦しみもがいてる。
「ちょっ…!首!首、絞まってるからッ!死んじゃうって!」
『よく聞け!私が好きなのは佐藤さんじゃないんだよ!』
「わっ、分かった…!分かったから!そろそろヤバイよ!」
そして相馬さんの首を解放してやると、相馬さんは落ち込んだように地面に鬱むせになった。
息を整える相馬さんを見て、私は思う。
『…自分の事かもって、思わなかったの?』
「…え?」
『わ、私が好きなのは相馬さんなんだって言ってんの!!!バカ!!!』
息が整った相馬さんは、マヌケ面を私に見せつけ…見せた。
マヌケ面、か。もうこれは自分だって一度も考えた事がないと言う証拠だろう。
…あはは、だよね〜。気付く訳ないんだもん、はは!分かっていた。分かっていたんだ。
『あははは、はは!は!……、は…』
我ながらこんな時に思いっきり笑うなんて、おかしいと思う。だけど今は複雑な気分。
…も、もう相馬さんは私が相馬さんを好きなのを分かってる訳で。それはつまり告白になったのか!?えっ、じゃあその後はどうすれば!?
確か少女漫画じゃ、ここで付き合ってピンク色に包まれてたような…。
いや!いやいやいや!
想像出来ない!そうならない自信がある!じゃあ振られるのか…?
すっかり私の頭はパニック状態になって、挙げ句の果てに気分が落ち込んだ。憂鬱な気分…。
『えっ、…ととと!だっ、じゃっ、じゃあああぁあ!!』
とりかくその場を立ち去ろうとして、私は猛ダッシュで逃げた。
**
あえりちゃんが猛ダッシュで走って行った後、俺はただ呆然と立ち尽くしてた。
え、あえりちゃんの好きな人って佐藤君じゃなくて…俺?って事になるよね。今のは。
しかも告白されちゃったんだけど、俺…俺…
「…相馬さん、どうしたんですか。そんな廊下の隅っこでうずくまって…」
「小鳥遊くん、どうしよう俺…何か今世紀最大に恥ずかしいよ…」
「はぁ…」
何て恥ずかしい勘違いを…!今なら恥ずかしくて死んじゃうくらいだよ!ああっ、恥ずかしい!
「…でも、面白くなりそうだよね」
俺はそう呟き笑った。
「ね!小鳥遊くんっ」
「そ、そうです…ね。(切り替え早)」
_