点と線で恋。
□無自覚と言う名の武器
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6品目!
無自覚と言う名の武器
違和感。違和感の最上級。
くすぐったい、痒い。なんて言葉よりもそう、まさに気持ち悪いって言葉がピッタリ。
『ね、相馬さん』
「どうしたの?」
『何してんだろ、私達』
「抱きついてるだけだけど」
そう、今の状況は壁←私←相馬さん、みたいな状況。プラス相馬さんが私に抱きついてるらしい。
恋が知りたくて、また佐藤さんをからかいたかったってのもあるけど。いつもみたいに盗み聞きしてた。
その挙句がこんな状況。相馬さんがいきなり抱きついてきた。
何か腰がくすぐったい!違和感がハンパない!とにかく……、
『何だろう、気持ち悪い』
「うわ、いつもながら唐突だねー。流石に心折れるよ」
大丈夫、相馬さんは絶対に折れないから!
と思いながらも必死に抜け出そうと身体中に力を込める。が、意外にも相馬さんの力が強すぎる。畜生!
『違和感!違和感の最上級!くすぐったい!キモチワルイ!』
後ろから抱きつかれている私はとにかく放れてほしい一心で、ジタバタしてみたけどビクともしない。ああっ、もう!
そろそろ腰が限界!くすぐったい!なりより何故か心臓痛い!
そして相馬さんは笑顔を絶さず言った。
「あ、もしかして、男に抱きつかれるのとか初めて?」
『初めてだけど関係ない!放せ!』
「えー、嫌」
どうにも放してくれる気配がこれっぽっちも感じられない!
限界まできたのかイライラしてきた!
『佐藤さーん!へるぷ!』
「ちょっ…、どうして佐藤くん!?」
「真城、どうした」
私の声に気づいた佐藤さんは、すぐさま駆けつけてくれた。
心配そうな顔つきだったけど、相馬さんが近くにいたのを見つけ、急に怖い顔つきに変わった。
「相馬、仕事しろ」
「さ、佐藤くん…?誤解だよ?俺はただ抱きつい…ああっ!フライパンはやめて!痛いから!!」
やっと私から放れた相馬さんは青ざめていた。ああ、面白い!爆笑したい!思いっきり笑いたい!けど笑うのを堪える私。
そして佐藤さんがフライパンを降り下ろした。
「うぅ、痛いよ…。佐藤くん…」
「仕事しろ」
そう言って仕事に戻る佐藤さん。その途中、軽く私の頭をこついたけど。どこまでもいい人。ありがとう、佐藤さん!
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