点と線で恋。
□今世紀最大の奇跡
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4品目!
今世紀最大の奇跡
いらっしゃいませ!
忘れてる訳ないと思うが私はホール担当のwaitress、ウエイトレス!普段あまり出勤しないけど!(サボり)
「真城、仕事しろよ」
キッチンで溶けてる私の頭を軽く叩く佐藤さん。
『疲れた』
「お前、毎日毎日ろくに仕事もしてねぇのに疲れる訳ないだろ」
『作り笑いも疲れるんだよねー』
ちょっと佐藤さんにイラッとしつつ、笑いかけた。すると佐藤さんは少し不思議そうに私を見つめた。
「意外だな。いつもアホみたいに笑ってんのに」
アホみたいは余計だよな、うん。
『笑ってる時は本当に楽しいからだよ!』
「ほー、幸せで何より」
「真城さんは表情分かりやすいもんね」
うわっ、ビックリした。またもいきなり話しに入ってきた相馬さんに驚いた。
「たまに出てる接客の時も無表情だしねー」
『顔が引きつってるだけ』
「でも逆にそれが評判良かったりもしてるんだけどね」
『何の評判?』
「(黙って普通にしてたらモテるしね、真城さん。気づいてないけど)」
「て言うか真城、何にも仕事出来ないだろ」
そして唐突に突き刺された言葉。何がて言うかだ!仕事ぐらい出来るわ!と佐藤さんを睨みつけた。
「皿をよく割る」
「山田さんと対等ぐらいにね」
「あぁ、あと客に対する言葉使い。あれは酷いな」
「山田さんでも敬語は使えてるのに」
あっさりと言う佐藤さん。言葉使い…?私は間違ってるつもりはないしましてや酷いなんて思った事なかった。それにやけに葵と比べられる。あ、私が葵より酷いだと・・・?え、私ってそんなに酷い?
『言葉使いって、敬語とか?』
「だな。"注文は決まったますか?"何か言わねぇよ普通」
「て言うか、俺達や店長とかにもそうだけど、誰一人敬語使ってないんだけどね」
そう言えば使ってない気がする…。いや、だって敬語の使い方が分かんない。敬語なんて使う意味あるの?使う必要も場所も人も私にはないし。て言うか、注文取る時の言葉間違ってたんだ!
『敬語がよく分かんなくて…です』
「まあ、別にいいけど。仕事の言葉ぐらい覚えろ」
『よし』
ガッツポーズを決め、相馬さんを見つめる。きっと今の私の周りには花とキラキラが飛び散っているだろう。
『出来たら何かご褒美!ね!』
「えっ…、何で俺?」
『なんとなく。よしっ、頑張るから!』
何かヤル気スイッチが入った!
まさか間違ってるなんて思わなかったけど、覚えてギャフンと言わせてやる!
私は勢いよくキッチンを飛び出した。
おっしゃ、やったらぁ!!!
***
キッチンに残された俺達。
勢いよく飛び出した真城さんの鼻声が、ずっと聞こえきて。ヤル気になったみたいだけど…、どうして俺がご褒美なんか。真城さんの事だから、きっととてつもない事なんだろうな…。
「…真城さんって、気まぐれだけで生きてるよね」
「それでヤル気になってくれたんなら、有難いけどな。ま、頑張れ相馬」
頑張れなんてそんな事、佐藤くんは思ってないだろう。
まぁ真城さんは、本気で人の嫌がる事はしない子なんだけどね。多分。
「ま、すぐに真城が仕事こなせるなんて期待はしてねぇが」
「そうかな?あれでもやる時はやれると思うよ」
そうだな、と短く返事をした佐藤くん。佐藤くんもなんだかんだ言って真城さんの事気に入ってるしね、分かってるんだろう。ただ真城さんが完璧に仕事してる所なんて想像も出来ないんだろう。
ま、俺もそこのところはあまり想像出来ないけど。
「今日は面白いものが見れそうだよ」
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