点と線で恋。
□ストーキング
2ページ/3ページ
『おら、相馬さんの野郎。表出ろ』
裏口の前でばったり会った相馬さんの胸ぐらを掴み睨み上げる。
「おはよう、真城さん」
それでもニコニコのキラキラ笑顔を絶やさない。くっ…!何か腹立つ。やる気か?やる気なのか、この人!
『くっ。そっちがその気ならやったらぁ!来い!』
「うん、静かにしてくれるかな。佐藤くんにバレちゃうよ」
『バレちまえ』
「えー、佐藤くん痛いから嫌」
『それより何で私の携帯、』
「内緒」
『チッ…。相馬さんには知られたくなかったのに』
なるべく関わりたくないのに、アドレスも携帯番号まで知られるなんて。知られたくたい人=相馬さん。
「うん、傷付いた。それより見る?佐藤くん、今日も頑張ってるよ」
『あっ、見る』
お決まりの光景。キッチンにいる佐藤さんと八千代さん。ふふっ、幸せと不幸せワールド ハズ カム!幸せ!(怒りを忘れました)
***
『くっそう、相馬さんめ。略してくっそうまさん!』
「全くです!相馬さんには困ります」
「ど、どうしたの?二人して…」
私が怒鳴った直後、葵も同じ様な事を言った。それを聞いていたぽぷらが心配してた。
「秘密主義で、自分の事何にも教えてくれません」
『腹黒で悪趣味で物知りで腹立つ』
「あ〜、そうだねぇ」
一同も納得。
そして何故か、葵の案でぽぷらと私で「相馬さんの事をもっと知り隊」が結成された。
「と言う訳で、相馬さんをストーキングします」
「駄目だよ!」
「ストーキングは愛情の証です」
カウンターの下に座り、作戦会議中。
アイジョウ…、って何だろうと1人で顔をしかめる私。て言うか今更何だけど、
『私別に相馬さんの事知りたくないんだけど』
「相変わらず酷いなー」
『「「うわぁっ!」」』
カウンターから顔を出した相馬さん。話聞かれてたか。まっいいけど!
「俺をストーキングするんだって?ご苦労様。甘い物を食べると脳が働くよ」
どうぞ、と上から手が伸びてきて手渡されたのは紙袋。何か暖かい。「甘い物」に反応した私は、すぐさま紙袋の中身を取り出した。
『…!たっ、たいや…!!』
タイミングよくお腹の時計が鳴り出した。目と口から涙も溢れて出してきた。お腹空いてたんだよね!たまには相馬さんもいいとこあるんだ!
『グッジョブ相馬さん、たい焼き!ブラボー フォーユー!』
「美味し〜ね」
「これで上手くストーキング出来そうです」
「もうバレてんじゃねぇか」
佐藤さんのツッコミが入った所で、相馬さんの事をもっと知り隊は行動開始された。
別に知りたくもない相馬さんの事をストーキングするのはちょっと面倒だけど、よく考えると携帯番号も知られてた=ストーキングされたかもだし仕返しに!
「ストーキングはバレても、まさか男子更衣室に隠れてるとは思いますまい…」
作戦と言うのは男子更衣室のロッカーに隠れて、相馬さんを観察しよう作戦。
『よしよし。たい焼きももらった事だし、一肌脱いだらぁ!』
「あえりのヤル気スイッチ入っちゃったよ!やっぱりこんな事よくないよ!」
「あ、来たみたいです」
入ってきたのは相馬さん。誰かと電話してる感じ…。
「金を持って来ないと命はないよ?…君の家族のね」
「「!?」」
『うわ、』
あぁ、電話の会話が何となく想像できた。何言ってんだ相馬さん!
それから電話を終えたらしい相馬さんは、携帯を更衣室に置いていき出ていった。
葵はすぐさま相馬さんの携帯の元へ駆け出した。それに私とぽぷらも後を追った。
あ、やば。眠くなってきた…
『と、言う訳でグットナイン』
二人の声が聞こえたけど、徐々に消え、私は更衣室の壁にもたれかかり一瞬で夢の中に入れた。
**
_