点と線で恋。

□ストーキング
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『おら、相馬さんの野郎。表出ろ』



裏口の前でばったり会った相馬さんの胸ぐらを掴み睨み上げる。



「おはよう、真城さん」

それでもニコニコのキラキラ笑顔を絶やさない。くっ…!何か腹立つ。やる気か?やる気なのか、この人!


『くっ。そっちがその気ならやったらぁ!来い!』

「うん、静かにしてくれるかな。佐藤くんにバレちゃうよ」

『バレちまえ』

「えー、佐藤くん痛いから嫌」

『それより何で私の携帯、』

「内緒」

『チッ…。相馬さんには知られたくなかったのに』


なるべく関わりたくないのに、アドレスも携帯番号まで知られるなんて。知られたくたい人=相馬さん。




「うん、傷付いた。それより見る?佐藤くん、今日も頑張ってるよ」

『あっ、見る』


お決まりの光景。キッチンにいる佐藤さんと八千代さん。ふふっ、幸せと不幸せワールド ハズ カム!幸せ!(怒りを忘れました)




 ***




『くっそう、相馬さんめ。略してくっそうまさん!』

「全くです!相馬さんには困ります」

「ど、どうしたの?二人して…」


私が怒鳴った直後、葵も同じ様な事を言った。それを聞いていたぽぷらが心配してた。



「秘密主義で、自分の事何にも教えてくれません」

『腹黒で悪趣味で物知りで腹立つ』

「あ〜、そうだねぇ」

一同も納得。


そして何故か、葵の案でぽぷらと私で「相馬さんの事をもっと知り隊」が結成された。



「と言う訳で、相馬さんをストーキングします」

「駄目だよ!」

「ストーキングは愛情の証です」


カウンターの下に座り、作戦会議中。
アイジョウ…、って何だろうと1人で顔をしかめる私。て言うか今更何だけど、


『私別に相馬さんの事知りたくないんだけど』

「相変わらず酷いなー」

『「「うわぁっ!」」』


カウンターから顔を出した相馬さん。話聞かれてたか。まっいいけど!


「俺をストーキングするんだって?ご苦労様。甘い物を食べると脳が働くよ」

どうぞ、と上から手が伸びてきて手渡されたのは紙袋。何か暖かい。「甘い物」に反応した私は、すぐさま紙袋の中身を取り出した。


『…!たっ、たいや…!!』


タイミングよくお腹の時計が鳴り出した。目と口から涙も溢れて出してきた。お腹空いてたんだよね!たまには相馬さんもいいとこあるんだ!



『グッジョブ相馬さん、たい焼き!ブラボー フォーユー!』

「美味し〜ね」

「これで上手くストーキング出来そうです」

「もうバレてんじゃねぇか」



佐藤さんのツッコミが入った所で、相馬さんの事をもっと知り隊は行動開始された。
別に知りたくもない相馬さんの事をストーキングするのはちょっと面倒だけど、よく考えると携帯番号も知られてた=ストーキングされたかもだし仕返しに!



「ストーキングはバレても、まさか男子更衣室に隠れてるとは思いますまい…」

作戦と言うのは男子更衣室のロッカーに隠れて、相馬さんを観察しよう作戦。


『よしよし。たい焼きももらった事だし、一肌脱いだらぁ!』

「あえりのヤル気スイッチ入っちゃったよ!やっぱりこんな事よくないよ!」

「あ、来たみたいです」


入ってきたのは相馬さん。誰かと電話してる感じ…。



「金を持って来ないと命はないよ?…君の家族のね」

「「!?」」

『うわ、』


あぁ、電話の会話が何となく想像できた。何言ってんだ相馬さん!


それから電話を終えたらしい相馬さんは、携帯を更衣室に置いていき出ていった。

葵はすぐさま相馬さんの携帯の元へ駆け出した。それに私とぽぷらも後を追った。


あ、やば。眠くなってきた…


『と、言う訳でグットナイン』

二人の声が聞こえたけど、徐々に消え、私は更衣室の壁にもたれかかり一瞬で夢の中に入れた。






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