空白昼夢
□これ以上、壊さないで
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第十七話
「・・・・・」
『・・・・・』
「・・・・ご、ごほん」
『・・・・ナニ』
さっきからヒノエがタイミングを見計らっていて、ずっと私をみてソワソワしていた。
「何じゃないよ。はぁ・・・最近どうしたんだい」
ヒノエの前ではいつもと変わらず過ごしていたつもりだ。何も悟られないように隠していたつもりだった。
それがこんなにも簡単に見破られてしまうなんて。
『おお、やっぱヒノエはすごいな』
「誰だってわかるさ。皆心配してた」
『私ってそんな分かりやすかったっけ』
「馬鹿かいお前。一体どれほどの付き合いだと思ってんだよ、お前の心境くらい分かるさ」
ヒノエは呆れたようにため息をついた。
どれだけの月日を一緒に過ごしただろうか。私は妖達と違って、命もそんなに長くはない。人間よりはちょっと長いだけで、妖よりは短い命。
だから妖であるヒノエ達にとっては、私と過ごした時間は短いのかも知れないけど、私にとっては長い付き合いで。ヒノエ達にとって短い月日だとしても、きっと長い深い月日だったに違いないと信じている。
・・・ヒノエ達は、絶対に払わせない。
「で?何があったんだい」
『えっ、あ、ああ…何でもない』
「お前はまだ嘘を・・・!」
ゴチン!
とまるで石を殴ったような音がした。ヒノエが私の頭を殴った、そしてグリグリとしてくる。
いっだい!!!ヒノエは乱暴すぎなんだよ!!
ズキズキと痛む頭をさすりながら思った。
こんな当たり前なようで当たり前じゃない日常。だけど、壊されたくない。
これ以上、壊さないで
(だけどやっぱり、)
(夏目にも会いたいな)
(わがままですか?)
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