点と線で恋。
□ストレートパンチは突然に
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ストレートパンチは突然に
痴漢事件は一行に止まないまま、私が痴漢されることはなかった。私は笑い者だ。
今日も恐らく痴漢にあうことはないだろう、そうふてくされながらバイト先に向かった。
『おはよーご「おお!君が山田さんか!?」……はぁ?』
誰だ!このテンション高い人は!
何だか今の私のテンションとの温度差がやばい。今一番会いたくないテンションの人だ。
『いや、違うけど…。私は真城あえり』
「真城さんか!俺は山田桐生!」
山田桐生…。山田くんが山田さんって人を探してるのか?いやぁ、世界に山田って名字の人は多いねぇ。その辺に山田って人はたくさんいるよ。どの山田さんだろう。そう言えば葵も山田だけど。
「実は行方不明の妹を探しているんだが」
ほう、行方不明。
…ええ!?行方不明!?それって警察沙汰じゃないの!?何こんなとこでニコニコとしてるんだよ!
「妹は変装してる可能性が高くてだな。悪いが変装してないた確かめても構わないか?」
『そ、それは全然いいけど…』
「よくないからね。山田くん、あえりちゃんは妹さんじゃないと思うなぁ。あと山田さんは今日休みだから会えないよ」
密かに姿を現した相馬さん。驚いて小さく声をあげた。前々から思ってたけど相馬さんっていつも急すぎると思う。影薄いのか?存在感がないみたいな。
山田くんは私の顔をまじまじと見つめて、納得したのかしてないのか分からない顔をしていた。
「……まぁいいか!そっそれより伊波さんは来ないのか?」
「伊波さんはもうすぐ来ると思」
次の相馬さんの言葉が聞こえることはなかった。
説明しよう。まひるが目の前に現れたのだ。そして叫び声で相馬さんの声がかき消された。次に飛んできたのがストレートパンチ。物凄いスピードで相馬さんの目の前を横切った。まひるに狙われたのは山田くん。おおっと、山田くん!まさかのまひるのパンチを受け止めたーーっ!!新展開です!!一方、相馬さんは青い顔をして止まっている!私としてはパンチは相馬さんに当たって欲しかった。何だかすごく面白い展開!!!
「…えっと、あえりちゃん?中継なんかしなくていいからね」
『気のせいだよ』
「気付いてないかもだけど、全部声に出ちゃってたからね!全力で!!何で俺に当たって欲しかったの!?」
私は目を逸らした。
そんなの面白いからに決まってんじゃん。
私と相馬さんとのやりとりをしてる間に、山田くんとまひるは何か話してたみたいだった。
それにしても山田くん、まひるのパンチ受け止めたのすごいな。
ストレートパンチは突然に
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