イミテーション模様
□我らがメカクシ団
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うまそうなメシの匂い…
あれ…確か俺、立て籠もり犯に撃たれたんだっけ。だけど撃たれる前に誰かが俺を押したような…。
なんかもう撃たれた痛みとかないや…。
霞む視界には洗面器とタオル。
誰かが俺の看病をしてくれたんだろうか。ありがたいな。
それにベッドに寝かされてるみたいだし…布団気持ちいいな。それに知らない天井…
「…っていうか、ここ!!どこだよ!!!」
ガバッ!!とベッドから起き上がればやっぱり知らない部屋。それと同時に近くからは女の叫び声と多分転けた音。
「ひえええ!!」
と怯えたような声をあげる白髪の女の子。…もしかして、この子が俺の看病を!?
その女の子の近くには、面白そうにスクスクと笑う女の人がいた。
『あ、えっと、その…ごめんね。目覚めてくれて良かった』
どこか申し訳なさそうに、引きつった笑顔を見せる女の人。
あ、確かこの人…人質にされた時猫目の隣にいた…。怒鳴っちまった人だ。それに、うっすらしか覚えてないけど、撃たれる直前にこの人の声が聞こえたような…。
「え、あ、あの…もしかして、撃たれる、前…俺を助けて…くれましたよね……。えっと、その、あっ…ありがとうございました」
女の人は怯える女の子の頭を撫でながら、目をパチクリとさせた。
あれ!?間違ってたか!?俺の勘違いだったら超恥ずかしいじゃねーか!
不安になってきた俺はパニックになり始めた。もう何がなんだかわかんねぇ…!
再び口を開こうとすると、聞き慣れた奴の声。
「ご主人様〜!起きたんですかーー!!」
その声、エネの声にさらに俺のパニック度は増す。
それにぞろぞろと他の人らも入ってきた。あ、あいつデパートで俺とぶつかった男…よく見たら女!?あああの時の猫目もいる!つーか俺の携帯を持っているのは妹のモモ…!
「んの、バカ兄!!心配したんだから!リヴさんが助けてくれなかったら死んでたよ!!?」
怒鳴られた。そしてその言葉を聞いて確信する。リヴさんって言う人は、恐らくこの人だ。やっぱり俺を助けてくれたんだと。
「あ、あの…やっぱり…」
『ええ!?うわ!あ、ああ…その、えーっと…。まさかお礼を言われるとか思ってなかったから』
その人は驚き声をあげて、その自分の声にビックリしたのかまた驚き声をあげた。必死に動揺をおさめよようにして、やっと我を取り戻したようだ。
『起きたら謝罪とお礼を私が言おうと思ってたから。先越されちゃったね。それにお礼されるようなことしてないよ』
と、さっきの引きつった笑顔とは違う綺麗な笑顔を見せた。
「いいえリヴさんのお陰ですよご主人様!まー今回の事件はご主人様の活躍でもあるんですけど!それより女性に命を救われるなんてみっともないですよ!」
「う、うるせぇ、エネ!!」
「怒鳴れるくらい元気で何よりです!ささっ、早くみんなで遊園地に行きましょう!」
この携帯の中で動き回る青いエネ。
「え?なに?遊園地とかそういう話になってるの?おもしろいね!」
「マリー遊園地っスよ!」
「ま…また出かけるの…?」
ガヤガヤと賑わうこの連中。え?いや、えっと、まだ状況が理解出来てねぇんだが…。
「騒がしくてすまんな。幸い、リヴのおかけで弾はかすっただけのようだ。安心しろ」
「あ…いやちょっと…展開が…。あなた達は一体…?」
男っぽい女が説明したけど、俺の頭の中にはイマイチ入らなかった。それよりも展開に全くついていけてない。ハテナを浮かべる俺に妹のモモが楽しそうに話してきた。
「あ、ごめんね!お兄ちゃん!この人達はメカメカ団って言う…「違うだろ、キサラギ」
メ、メカメカ?しかも違うのかよ。
フードを被った男っぽい女がモモの言葉に被せた。
「俺たちは、メカクシ団だ」
( 我らがメカクシ団 )
もう、何でもいいや……