イミテーション模様
□頼りたいけど、ね
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『マリぃ〜〜』
「ふぇっ…?」
ソファで拗ねてても皆構ってくれないことが分かった。だからキサラギ兄が寝ている部屋に逃げ込んだ。マリーに泣きべそかきながら抱き付いたら腑抜けた声を上げていた。「ふぇっ」だって、可愛いよね。私には無理だ。
「リヴ、どうしたの?」
『皆がイジメてくる』
「…そうなんだ」
あれ?もしかしてマリー流した?流されたよね。
『…キサラギ兄は、どう?』
「うん…まだ起きないみたい」
そっか、と小さくため息たじりに呟いた。
もっと、もっと私に力があれば…こんなにキサラギ兄が寝込むこともなかったのかも知れない。私がもっと、強かったら……
ぎゅっ、と力をこめて拳を握った。
が、それはマリーの手によって緩められた。私の手をマリーが強く握ってきて。
「…リヴは、強いよ」
『……』
「リヴは、たったまに意地悪なとこもあるけど優しいし強いし…えっとね、かっこいいけどやっぱり可愛いかな…綺麗?でもカッコいいよ…!」
上手く言葉がまとまらず苦戦してるマリーは、ちょっと涙目になっていた。
「でもね…!完璧すぎだから、もっと周りに頼っていいと思うの…。一人で抱え込まないでっ、私にも皆にも相談して…?」
驚きのあまり唖然としてしまった。…まさかマリーがこんな風に思ってくれてたなんて。不器用なりに言葉をあわせて、私に伝えてくれたんだろう。もうもはやマリーは泣き出しそうだ。
『…………、ぶっ』
「な、何で笑うの!?」
あんまりにもマリーが可愛かったから。
それにね、何だか胸の辺りがいっぱいなんだよ。この暖かくて溢れそうな気持ちは何て言うんだろうね。
『ありがとう、マリー』
くしゃくしゃ、とマリーの頭を撫でたら頬を赤くそめて笑った。
私ね、少しずつだけどここにきて色々変わってきてると思うんだ。確実にいい方に。
それは、皆のおかげ。
だけど、私はもっと、もっと進化しなきゃいけない。
(頼りたいけど、ね)
それは私には出来ない