イミテーション模様

□とりあえず、ただいま
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平穏な日が訪れる。


あの後、気絶したキサラギ兄を看病するためにアジトに運んだ。今はマリーが看てるみたいだ。それにしてもアジトでの生活は久しぶりだなぁ。しばらくアジトにはいなかったから、ああ懐かしい。セトとも久々に会えたし。



「へぇ、じゃあ旅…じゃないっス、修行のお陰で瞬間移動ができたんスか」

「旅…じゃない修行の成果が出て良かったな。いつ思い出してもあれはすごかったぞ」


前にも話していたけど、修行のためにしばらくアジトにはいなかった。
それは私の《目を造る》能力の幅を広げるため。例えば行き先で何か見たものを覚えて実戦で使えるようにだ。

と言うか皆の中じゃ旅に定められてるの?



「ねぇ、リヴ」

『何カノ。言っとくけどご飯はあげないからね』

「何それ!別にもらおうだなんて思ってないよ!?」

『嘘、私の大好物のエビフライ取ったの忘れてないんだから』

「可愛くない!昨日は腰を抜かして涙目になっていたか弱いリヴはどこいったの?」


な、なんてこと言うんだ、こいつは!その話を聞いたセトが笑いながらこっちに寄ってきた。


「え、リヴ泣いたんスか!?見たかったなー」

「そうそう、あのリヴが!貴重だったから写メ撮っておけば良かったね。そのあと一人で笑いだしたり」

『ねぇ、カノにはデリカシーってもんがないの?ねぇ?』

「リヴからデリカシーって言葉が出てきたことに驚きだよ」

『ああ、カノはデリカシーって言葉すら知らないんだ。大丈夫?辞書いる?』

「あ、辞書と言えばマリーの辞書見た?ぷっ、くく…!傑作」

『ああやっぱり!あれだよね!辞書の意味を辞書で調べて…!くふふ…ッ』



「いやぁ、懐かしいっスねー。この光景!」

「…また騒がしくなった」


楽しそうに笑うセトと、呆れ気味にため息をつくキド。そして私達の光景を見ていた新入り、モモちゃんも少々呆れ気味にこちらに冷たい目を向けていた。


「…私、何でカノさんとリヴさんはあんなに仲が悪いのかと思ってたんですけど…。誤解だったみたいです。あれですよね、似た者同士ですよね」


と、聞き捨てならぬ台詞をはいた。


『ちょっと、モモちゃん!?私に何か恨みでもあるの?そんな酷いことした?だとしたらもう十分ダメージくらったよ。もうそれはそれは相当なダメージ』

あのカノと似てるなんて心外だ!むしろ侵害だよ!モモちゃんひどい!

「いや、俺も前々から思ってたっスよ!」

「リヴの方がマシ…いいと思うがな」

『セトとキドまで…!何これなんかの嫌がらせ!?悪口!?ねぇキド、マシって言ったよね?うん、言った。マシって何、マシってどれくらいの差!?』

「……や、かなりちょっと…」


何かの悪い夢だ。嫌がらせだ。集団リンチですか。これ以上のダメージはないだろう。ひどい!みんなひどい!!



「…ねぇ、僕がいるの忘れてない?」

ニッコリと笑ったカノ。少し複雑そうな顔をしていた。ヤメテ、今はその顔見たくない。
心底ショックな私は、ソファに座り込み顔を埋めた。



「わ、私何か悪いこと言っちゃいましたかね…」

「…や、事実だし。…とりあえず食事の用意でもするか。セト!お前も手伝え」

「うす!」





  ( とりあえず、ただいま )


私の日常

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