イミテーション模様

□8月14日の出来事
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「にしてもキサラギちゃん、よく考えついたよね。マリーの目を全員に合わせて動きを止めるとか」


ひと段落した私達は、そんなことを話していた。うん、私もモモちゃんはすごいと思う。リスペクトだよ。


「兄がシャッターを開けてくれるとは思ってたんですけど、銃撃戦とかになったらまずいなぁって。そしたらカノさんが石みたいに止まったのを思い出して…」

『「アホもアホなりに役に立つもんだな/ね」』

「え、なにそれ酷い!あ、キド写真見た?写真」

「消した」

『ええっ。それは酷いよキド!』


とりあえず安心だ。
警察達はテロリスト達を縛り終えた様子。



「一件落着……ですかね…」

「ああ…お前のおかげだ。よくやった」

『モモちゃんかっこよかったよ』

「え、…いやぁ…えへへ……。ってあれ?マリーちゃんは……」


モモちゃんが思い出したかのように辺りを見渡す。そう言えばさきほどからマリーの姿が見当たらない。どこに行ったんだろうと私も皆も見渡せば……


電気アンマを持ち、警察の一人に質問攻めにあっているマリーの姿が。


「「うわああああああ!!!」」

キドとモモちゃんが盛大に叫んだ。

「あの馬鹿……!」

「どうします!?これ相当まずいですよね!?」

『うっ、ぷふ…ッ。思い出し笑いが…っ!』

「ぷっくく…。ああ、あれが例の無精髭の頭を叩いた電気アンマ!」

『ひぃ…!おっお腹痛…!もうこれ絶対何かのギャグだよね!?くっく…』

「なんであんなもの…!マリー最高!お腹痛、痛い!」


カノはキドに殴られて床に倒れ込む。「なんで僕だけ!?リヴは!?」だなんて涙目になりながら訴えていたのを私は鼻で笑った。

『日頃の行いの違いじゃない?』

「…殴られてお腹も痛いけど、何だろう、心も痛い」


うずくまるカノは放っておく。次第にマリーの周りに警察が増えていき、もう泣き出してしまいそうなマリーは必死に何かを訴えている。そしてマリーは私達を指指している。……って、え?


「…なんかマリーちゃん、こっち指指してません…?」

『私も思った。ねぇ、警察達こっち来てない?』

「に…」「に…」
「逃げるぞ!」「逃げましょう!!」


偶然に人質やテロリストの石化が解け、警察達はそちらに目を向けた。それをチャンスにキドは再び私達の姿をW隠したW。モモちゃんはマリーを連れてきて、キサラギ兄はカノが担ぎ、見えなくなった私達は急いで逃げることに。既に体に力が戻っていた私も急いで走り出した。



「ええっと…、僕ほんとにお兄さん担いだままこの階段降りるの?七階…!?」

「階段が終わったら次は外だぞ」

「も、無理…」

「ねぇ、マリーちゃん」

「な、なぁに…キサ…モモちゃん!」

「!私ね…今日すっごく楽しい!」


この光景を見ながら、私はしみじみと幸せを感じていた。こんな騒がしい日だけど、一生忘れることはないだろう。

窓からは相変わらず強い太陽の光が射し込んでいて。


『……ふふっ、ふふふふ…』


一人、小さく笑うと「…何笑ってんの…僕は大変だって言うのに…」「気持ち悪いぞ、リヴ」なんて批評を受けた。


今、私がここにいる幸せ。





( そんな、8月14日の出来事 )


私は忘れない。

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