イミテーション模様
□任務実行
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目の前にはキドと恐らくモモちゃんのお兄さんであろう人が、ぶつかりバランスを崩している絵像。
え、何だろう。この展開。
今日は何だか面白いことがたくさんある気がする。私は今日ここに帰ってきたことを心から喜んだ。
「すまない」
キドは相変わらずクールに振る舞い、すぐさまこちらに戻ってきた。
ああ、モモちゃんの顔が今最高に面白いよ!「もう…最悪…」と顔を手で覆うモモちゃんは心底嫌そうな顔つき。
「お、おいどういうことだキサラギ!あいつお前の兄貴なのか!?」
「う…ち、違います…やめてください…違うんです…」
『「さっき思いっきりお兄ちゃんって呼んでたから」』
『…げ』
「僕とハモったからって嫌そうな顔するなんて失礼じゃない!?誰だって突っ込むところだから!」
「うぅ…!って言うかマリーちゃん大丈夫!?ごめんね驚かせて…」
いやぁ、モモちゃん壊れてるなぁ。叫んでるし。
と言うかあれがモモちゃんのお兄さんか。何か意外だったな。だけどアイドルのお兄さんだけあって顔はどこどなく似てい「リヴさん、口に出てますよ!」『ごめん』「な、なぁ今のが兄貴なのか?お前の?」「団長さん、うるさいです!やめてください!」「お、おう…。悪かった…」何だかモモちゃんが荒れてる。
ちなみにキドの能力は人に密着しすぎたら能力が使えなくなるかも知れないから、階段で七階まで移動中。
そしてキドの能力は強めたり弱めたり出来る。モモちゃんが携帯を買う時には店員に認識される必要があるから、キドの能力を弱めないとモモちゃんの能力でまた目を奪ってしまう。しかしデメリットと言うか、親族には確認できるようになる。
つまりモモちゃんのお兄さんのログアウト待ち。
「お前あれだな。不幸体質だな」
「…そうですね…すっごい自覚しました今日で…」
『お兄さん何を買いにきたの?』
「さっぱりなんですよねぇ…まぁ、PC用品だとか。なんでわざわざ自分で買いにきたんだろう…?」
「ん〜…アレじゃない?お盆だからネット通販やってなかったとか」
「あああ…なんかそれっぽい気がしますね…。にしても何でこんなタイミングに…」
『でもほら。やっぱり似てる気もするよ。イケてるお兄さんじゃん』
「あ、それ僕も思った!波長が合ってるんじゃない?」
「…ホント、二人とも殴りますよ?」
モモちゃん怖い。なんか怖かったよ、お姉さん。モモちゃんから受けた初めてのツンは痛かった。
「もう殴ってやって正解だとも思うがな」
「キ、キサラギ、リヴとカノ殴るの…?」
『これはねマリー。モモちゃんの愛なんだよ』
ここは大人として上手くおさめなければならない。いや、いくら愛とは言え殴られるのはいただけないな。
そして私は笑顔を消した。
今日は最高の日だと思っていたけど訂正してほしい。
先ほど私たちの横にきたこの男。リュックの中から火薬の臭いがする。銃火器だろうか、爆弾もあるみたいだった。ここまできたらもう銃だとか時限装置があってもおかしくない。テロリストっぽい。デパートごと人質にとる気か。
鬱陶しい。
『キド、カノ』
「うん。ちょっとヤバいね」
「キサラギ、マリー。ここを出るぞ」
何がなんだか把握できていないモモちゃんとマリーだけど、私たちの雰囲気を察したのかすぐに頷いた。
「カノとリヴはキサラギの兄貴を連れて来い。あんまりびびらせないようにな。リヴもいたら安心だろう」
『了解』
「二人をお願いね」
キドにそう言われ、私とカノは目を合わせるとお兄さんが向かった方へと足を進めた。
( 任務実行 )
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