Growth Record

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「あっ、芽繰っちー!!」



ただでさえ人目を浴びる自分なのに、コイツ、黄瀬涼太のせいで更に注目を浴びることになった。

廊下で偶然会い、ダイナミックにジャンプで飛んできて、そのまま自分の身体をガッチリと掴んだ。そして離さない、身動きが出来ない。



「紀伊地さんと黄瀬君が…」
「黄瀬君とどんな関係!?」
「どーせお金で…」
「抱き合ってるんだけど!?」



訂正。
抱きつかれている。



『涼太…お前なぁ…!!』


周りの人に聞こえない声で涼太を睨み付けた。一応自分にも家庭の事情がある。家からは冷静に大人しく振る舞えと言われているのだから、迂闊には怒鳴れない。



「ちょ、そんな怒らなくてもいいじゃないスかー。いっで!さり気なく足踏まないで! 」


『で、何か用?』

「そうそう。一緒にお昼どうっスか?てか強制的っスけど!」


そう言われぐいっと手を引っ張られた。『え゛ッ』と変な声が出たまま、涼太の思うままに自分は連れていかれた。





⌒⌒○




「おー、紀伊地も来たのか。小いせぇから見えなかったわ」


屋上にて。
こいつは自分に喧嘩を売っているのだろうか売ってるよな。



『お前等は自分を怒らせたいのか!大輝といい涼太といい…!』


屋上には大輝がいた。涼太に連れられてきた自分を見てニヤリと笑い、さっきみたいな聞き捨てならない言葉をはいたのだ。


「えっ、何で俺も!?青峰っちに怒るのは分かるけどさ!」

『お前はあんな人前で抱きつくな
!』


「つーかマジお前性格変わるよなー」

『今は人がいないからいいんだよばーか』

「…そっスねー。正直意外だったっス」


何がだ。と言い返したら涼太は少し考える顔をした。
ああ、大輝にも言われたけどこの捻くれた性格かな。自分は普段、大人しかったりするキャラだから、周りからみれば。
本当はそんなじゃないんだけど、…多分。



『分かった。おしとやかな性格だと思ってたのに真逆でガッカリしてんでしょ。自分はレディよ、キャパッ』


「マジ芽繰っち大丈夫っスか?」

「マジ馬鹿だわ、こいつ」

『ちょ、真剣に心配するな引くな。悪かったな、イメージと違うくて!!』


くそう、何だこの反応!超イタイ子みたいじゃないか、自分が。少し気分が悲しくなったから、その場に座り込み持っていたお弁当を頬張った。やけ食いと言うやつか。それを見て涼太は何やら笑い声をあげた。




「違う違う、悪い意味じゃないっスよ」

『は、』


「確かに芽繰っちと仲良くなる前は大人なレディみたいなクールってか…そんなイメージだったんスけど。実際真逆だし!逆に面白いっス!そっちのがいいスよー」


褒められてるのか貶されてるのか分からない(大人の逆って子供じゃ…!)けど、何だか嬉しかったから良しとしよう。




「すまない。待たせたのだよ」


すると屋上に入ってきた眼鏡の男。…誰だろう、大輝と涼太と話してるから友達っぽいな。ジッと見ていると私達の輪の中に入り座りこんだその人。まだジッと見つめていたら眼鏡の人と目が合い、その人は驚いたように口をあけた。



「あ、俺ちょっと呼ばれたから行ってくるっス!すぐ戻るっス」

「俺も飲み物きれたから買ってくるわ」

そして大輝と涼太の二人は風のように屋上から姿を消した。え、何この退室ラッシュ!!



チラリと横を見ると、平然とご飯を食べている眼鏡の人。

…これは話しかけた方がいいのか。いいよね、多分。いや自分に何か話題を作るとか無理だあんまり人と話さないし、この人大輝と涼太みたいなアホと違って真面目そうだし。



「…紀伊地芽繰か」


散々頭を回転させてぐしゃぐしゃさせていたら向こうから話しかけてきた。



『自分のこと知ってるんだ』

ああ、そう言えば赤司征十郎って奴が言ってたな。自分を知らない奴の方が珍しいって。それはやっぱり家のせいなのだろう。



「当たり前なのだよ。お前は俺のライバルでもある」





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