点と線で恋。
□少女漫画的展開
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俺はあえりが好きだ。
「俺と、付き合って欲しい」
言えた、やっと。
「…今すぐにじゃなくてもいいから、考えて欲しい」
だって他に好きな奴がいたら。俺は振られるだろう。だけど少しは俺のこと、意識してくれるはず。
俺は、あえりのこと泣かせたりしない。
真っ直ぐに俺を見つめるあえりの目。…うわぁ、やべぇ。結構緊張する。
そしてあえりはゆっくり口を開いた。
『……いいよ』
「…え、じゃあ…!!」
『やだなー、いつでも付き合うじゃん!どこ行きたいんだ?』
…………、はぁ?
「ちょっ…!?おま…」
『水臭いなー。行きたいとこあるなら着いてくのに!あ、そうそう。ぽぷらが言ってたデートの話、ぽぷらの嘘なんだよね。だけど付き添いはいつでもするから!』
まて、待ってくれ!頭が着いていかない!
と言うかあえり、告白されたの気付いてない!?しかも何、デートの話はなしだったのか!?
とりあえず、告白を流されたのは結構キツイ。そんなに俺に対して何も思ってないってことか…。
「ちょ、あえり!俺はお前を恋愛か「たっ、大変!!あえり!!!」
俺の言葉にかぶさったのは、種島先輩の声。と、佐藤先輩。タイミング悪ぃ…。だけど何だか慌てた様子だ。何だろう。
「相馬さんがっ、怪我して…!」
「え、マジっスか!?大怪我じゃないんスかね…」
「まぁ相馬なら大丈夫だろうが。今は休憩室で治療してる」
「って、あえり!?」
『行ってくる!!!』
「ちょっ、待っーーー」
その時俺は思った。
あえりの表情。今まで見たことがない、この表情を見て俺は信じたくもない事実を悟ってしまった。
足が早いあえりの姿は、一瞬にして消えた。
あえりの手を取ることもできなかった。
「…真柴一号、お前あえりに告ったのか」
あえりの姿が消えた場所を見続ける俺に、佐藤先輩が聞いてきた。
「…はい。でもガッツリ流されたっス」
「(流され…!?…ああ、気付かなかったんだろうな、あのバカ)」
「ハハッ。それ程俺に対して、何も思ってないってことっスよね!」
俺が追いかけることすら出来ない、それだけあえりは今、遠くにいるんだと。
「…そっかぁ……」
なぁ、あえり。
お前は相馬先輩が好きなんだろうな。
少女漫画的展開
(……あいつ人の告白を流すなんてどんなけ馬鹿なんだよ…)
(ちょっ!?傷付くから言わないでっス!)
(あえりに少女漫画的展開を期待しないことだな)
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