空雅の小説部屋

□ダンデライオン
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俺はライオン。
「百獣の王」なんて呼ばれているけれど、そんな大層なものじゃない。


俺はただ皆と仲良くしたいだけなのに。
俺の見た目が悪いのか、それともこの怒りっぽい性格が悪いのか。
友達どころか、言葉を交わしてくれるやつすらいないんだ。
そのせいで、サバンナじゃ皆に嫌われた。


俺は寂しがりな、ただのライオン。


ふと目にとまったのは、深い谷にかかる大きな橋。


そういえば、向こう側にはまだ行ったことがないな。


俺にだって好奇心というものはあるわけで、ゆっくりとその吊橋に踏み出す。
ギシッギシッと響く音から、それなりに古い橋だとわかる。


その大きいつり橋を渡り終えると、そこには・・・。


向こう側では見たことのない・・・太陽によく似た姿のヤツが座っていた。


じっと睨んでみても、そいつは微動だにしない。
他のヤツは皆逃げるのに、こいつは・・・。




「・・・お前は俺が怖くないのか?」




返事はない。というか、やはり微動だにしない。
俺はもう一度だけ、祈るように尋ねる。




「逃げないで・・・いてくれるのか?」




ビュウッ、と強い風が俺とそいつの間を吹きぬけたと思えば。
そいつの黄色くて可愛い頭が、縦に一度だけ揺れる。


こいつ、うなずいたのか?
うなずいて、くれたのか・・・?
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