銀魂
□いらつく
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教師×生徒
微裏?
「土方先生!ここわからないんですけどぉ」
「ああ、何だ。簡単じゃねえか」
「わぁっ、後ここもぉ」
でれでれしてやんの、土方の癖に。
+++
女の方の香水が至極きつくて堪らない。
なんでィ、これ。トイレの消臭剤の匂いかよ。
土方も土方だ。
でれでれしやがって、気持ち悪い。殴り飛ばしたい。寧ろ女も纏めて殴り飛ばしたい。
まあ、やらないけど。
さっきから溜め息がとまらない。
何でかって?自分だって知らない。
逆にききたい。
何で気持ち悪いの。
何で、苛々すんの。
何で、何で、何で。
ああ、気持ち悪い。
「総悟、どうかしたのか?」
「ぁあ?…あー、気持ち悪いだけでィ…」
「保健室、行くか?」
どうやら、クラスメートの方が心配してくださったようで。
誰だっけ、コイツ。
…名前、知らねえ。
「…うー、…行くー…、連れてけ…」
「じゃ、肩掴まれよ」
苦笑混じりに告げられた言葉に甘えることにしよう。
だって、だって、さ。
土方先生は、ほら、ナンパされてるし。
…あれ、さっきのとこに土方先生がいねえ。
移動したのか、個室とやらに。個別指導か。
ああもうむかつく。死んじゃえ。
「んー、おぶされー」
「――俺がおぶさってやるよ。」
「土、方先生…」
ばっ。
顔を上げて前を見ると呆れ顔の土方先生。
やめろィ。何でこんな時に優しくするんだ。
優しくされると苦しいんだよ。ばぁか。
「げ。…土方せんせ、忙しいんじゃありやせん?」
「げって何だよ。…別にお前一人送る位どうってことねえだろ。」
あああ、名も知らないクラスメートが怯えていやすぜ、土方せんせ?
てか、こん位でビビってんじゃねえよ、ビビり君が。
あ、いいや、こいつの名前ビビり君で。
「いいから掴まれ。おい、お前。」
「は、はいっ、何ですか?」
「総…、コイツのこと、ちゃんと次の担当教師に連絡しといてくれや」
「わかりましたっ」
使えね。マジ使えね。
とめろよ。土方先生とめろや。
結局的にビビり君は何もいえずに、俺は土方先生におぶさられながら保健室にむかったのだが。
「んだよ、誰もいねえのか。」
がらら、と保健室の扉を開け放つ土方先生の腕を見つめる。
最悪。誰もいねえの。
寝たい。今すぐ狸寝入りしたい。
…バレそうだけど、さ。
「とりあえず、総悟はベッドで寝てろ」
「えー…、暇…。」
「馬鹿が。体調不良者が暇とかほざくな」
先生の背中から真っ白いベッドへとおとされる。
ちぇー、背中がよかったな。気持ち良かったし。楽だし。温かいし。
「んぅー、あー…、寝れそ…」
「お前ほんと、いや、何でもない」
「なんですかィ…、気持ち悪い」
「お前な…」
俺と土方先生は世間一般でいう、恋仲と呼ばれるものだ。…形だけっぽいけど、俺はちゃんと先生のことが好き、だったり。
真新しいシーツをくちゃくちゃに掻き回す。
まるで今の俺みたいだ、と思う。だってさ、ぐるぐるかきまわってるんだよ。心臓らへんが。
ああ、本当、気持ち悪い。
「土方せんせ…。」
「あ?」
いつのまに煙草くわえたんだ。俺、未成年なんだけど。一応。
ま、いいや。どうでも。
「土方先生のばぁか。」
「はぁ?」
「でれでれして気持ち悪いんでィ。ただでさえ気持ち悪いってのに」
「連呼すんな。餓鬼かお前は。…餓鬼か。」
自問自答してんじゃねえよ土方コノヤロー。
てか、俺ぁ餓鬼じゃねえやい。っていったら絶対、未成年は餓鬼だ。って言われる。死ね、むかつく。
「…で?どうした」
「…何が」
「お前が普通の体調不良とかおかしいだろ」
「先生って、人の気持ち考えたことありやすか」
あまりにも失礼だ。無遠慮だ。むかつく。ああ、むかつく。
保健室特有の薬品の香りが漂う中で、土方先生は凄く真剣な顔をして俺の顔をみる。
…俺は逸らしちゃってるけど。
「せんせ、ってさ、俺の…こと…、えー、と…」
「ん」
「…やっぱやだ。」
枕がふわふわでよかった。
顔を埋めても息苦しくないし。それに、干したばっかりなのかお日様の匂いがするし。
お日様の匂いって確かダニが死んだにおいだって同級生の山崎からきいたけど、いいや、いい匂いだし。ダニ、死んでるし。
「好きだぜ、ちゃんと」
「…うん。」
何でわかるんだよ。
馬鹿みたいじゃないか、独りよがりみたいだ。
やっぱり、年齢の差は埋められないのか。
別に、埋めたい訳でもないけど。
「ね、せんせ。…先生は俺のどこが好きなんですかィ?」
仰向けになって、俺の隣にいる土方先生に手を伸ばす。
煽ってるみたいだな。煽ってるけど。
「そうだな…、感じやすいとこ、とか?」
「はは、死ねよ、土方」
「嘘だよ…、俺はな…お前の…」
何でィ。そこで区切るなよ。
というか、性格とかいったら殴ってやる。完全なるMじゃねえか。
あ、でも丁度いいのかもしれない。SMで。
「全てが好きだ」
「っ」
反則だ、反則だ、反則だ、反則だ!
俺の頬に手を寄せて微笑むな。うわああああ。顔が熱くてたまらない。
全部土方のせいだ!
「…俺も好き」
「襲うぞ」
「どうぞ」
もういいや。思いっきり煽って、思いっきり余裕がないようにしよう。
余裕がない土方先生なんてみたことないし、みてみたい。
ということで頬に寄せられた手に軽くキスをする。びくりと震えた手が凄く可愛い。
少し笑みをこぼした俺にムッとする土方先生。
ああ、駄目だ。可愛い。
「調子のったらどうなるか…、わかってるよな?」
「んぅっ」
深いキス。これ、好きだ。
だってさ、先生の顔が、息が、舌が、俺にふりかかってくるんですぜ?
幸せすぎて、死んじゃいそう。
「ん、せんせっ、ここですんの?」
「…する。我慢できねえ」
「んゃっ、あ、…せんせ、…可愛い」
ベッドに寝っ転がってる俺の上に跨り体を弄る先生に向かって何てことを口走ったのだ、俺は。
先生が可愛いのが悪い。我慢できないとかいうから。
「は、可愛いのはお前だろ」
「あっん、やぁぁッ、下、触って、ぇっ」
胸ばっかじゃ足りない。イけない。好き好き好き。せんせ、大好き。
「やんッ、せんせっ、ぐちゅぐちゅ、して?…」
「っ、どうなっても知らねえから」
そこからは、先生が激しすぎて記憶があまりない。
というか、思い出したくないほど凄く乱れていたのかも。
腰を掴まれて奥までつっこまれたときには、もうあれだった。気持ち良くて死にそうだった。
それと、喉痛い。
+++
「総悟、大丈夫か」
「んぅー…、喉いたぃ」
「はは、煽ったお前が悪い」
「…だって、せんせ、が…、いつも…、余裕だから悪い、ん、ですぜ?」
「…もっかいやるか」
「死ね」
end.