銀魂

□好きだコノヤロー
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*裏です。両片思い。


(例えば、煙草をくわえてる姿だとか、怒りっぽい性格だとか、だけど垣間見せる優しい隠れた本性だと、か…)

「好き…でさァ…。」

うわ。自ら言ってみると尚更気持ち悪い。し、キャラじゃねえ。
なぁんて、いっても自分の気持ちなんて変えられるわけもなく、あてない告白が口をついてでる。
気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち、悪い…。
今自室の襖を開けられたら、相手が吃驚するだろうか。
それもまた、一興。
報告書なんてこの上なく面倒なものやりたくはないし、それにほら、期限昨日までだったし。
ごろごろと忙しなく転がり続けて早30分。
結構暇してるんだな。
働く気ないけど。
近藤さんはお偉いさん方との話し合いに出かけていねえからどうしようもない脱力感が体の芯から根付き始めている。いやもう根付いてる。

「あつ…。」

季節はもう、文月。
しとしとと雨が降って湿気が多かった先月に比べりゃまだ過ごしやすい季節なのかもしれない。
まあ、過ごしにくいのには変わらないが。
それにしても、暑い。
汗がふきだしてもう着ている衣服は濡れそぼってしまっている。

「はぁ…。」

そうだ。水を飲みに行こう。
土方さんからは書類を片付けるまで部屋からでるなと言われたが終わらないものはどうしようもないし、やる気も出ないんだからそれこそどうしようもない。
先へ先へと延ばし続けているから終わらないんだ、とかお小言言われようが知るものか!
そうと決まったらよいしょと立ち上がって襖へ手をかける。
否、かけようとしたら勝手に開いた。
…なんでィ。俺、自室の襖を自動ドアにした覚えなんてこれっぽっちもないんだけど。
数秒間に渡り静止した脳内がいろいろおかしいことを語り出す。
でも、まあ。
土方さんが仕事の用事で来たんだと開いた障子と障子の合間の人物を見てわかったのだが。

「…総悟、どこ行こうとしてた」

怒り、というより呆れ顔の土方さんに俺は敢えて薄ら笑い。

「いや、まあ、土方さんの寝首をかきにいこうとしてたんでさァ…」

怒らせる、なら得意分野の筈だ。
だが、なんだろう。
この人は一向に怒鳴り散らす気配さえ見当たらない。
いや、ちょ、やめてください。熱とかでてるんじゃねえの。
遂に口元に笑みを作り出した土方さんにある意味の恐怖を覚える。
さては偽物か。そうか、偽物か。それなら納得、納得。

「総悟。」
「…何」

かたん。襖が静かな音でしめられた。
取りあえず、何故襖をしめたかを聞き出したいが、きっと今のタイミングじゃそれもままならない。
時期をみて逃げ出さなくては、水が、俺の喉が、心臓が、精神が。
やめてほしい。そんなふうに笑わないでほしい。
俺があんたに惚れてるなんてあんたなんかにわかる筈もないけど、でも…、あああ…、いろいろ…反則だ!

「土方さん。何のようですか。」

早く帰れ。
言葉の端々に敵意をこめて告げたのに、土方さんはなんのその。

「…書類は…、やってねえの」
「はい。」

どさり、と俺の自室に居座る不届きもの一名。
いちいち見に来なくたってわかりきってるだろうに。仕事熱心なことだ。
俺には生涯かけても真似できない。する気もない。

「…総悟、お前…、」
「…ん、ちょっと勝手に髪触らないで…っ」

ゴミがついてるぞ。
そういって髪に手をのばしてそのゴミとやらをとってくれたのはいいが、うん、心臓、痛い。
いっそのこと俺が女だったら抗議の一つも出来たのだろうが、皮肉にも俺は男だ。
いや、男でも抗議はできる。できるけどやらないのは惚れた弱みか。自分を殴り倒したい。

「…いつまで、触ってんだコノヤロー」
「お前って髪質いいよな。ふわふわしてる。犬みてえ」
「…それは、侮辱ととってもいいのか…」

だとしても、触れられて嫌だなんてこたあないが、人並みに恥ずかしいとは思う。と、思うのが恥ずかしい。

「褒めてんだよ。喜べ」
「喜べっていわれて喜ぶ馬鹿はいやせんよ。」

あ、目の前の誰かさんはそうかもしれやせんね。
皮肉ごとを心の中で、中だけで呟く。
あー、調子狂う。
自分がおかしくて調子狂う。
ついでに言えば、土方さんもおかしくて調子狂う。

「…んっ、耳…触んな」
「…へぇ、ここ、弱いんだな」
「んッ、ちょ!やめ…」

こいつ楽しんでやがる。
喘ぎゃあしねえが息が、喉の奥が、熱い。
ただでさえ暑いというのに。

「…は…、やぁ、土方ぁ、このやろ…っん」

あ、喘いだ。
いや、違う。息だ。
ありゃあ、息だ。
断じて違う。喘いでなんかいない。
ほら、もう、嫌だ。
土方さんが驚いた顔してやがる。
アホみたいな間抜けな顔だな。そりゃそうなりもするか。
だって、悪戯半分で相手の弱いとこ弄ったら突然そういう声出すんだ。
吃驚しないほうが、一驚。
しかも、女ならまだしも、男を喘がせ…違う、息だ。吐息だ。

「…そう、ご…」
「ん、っわ!何…っ」

悶々と思考を逸らしてたら土方さんが視界の真ん前にいた。
あれ?おかしくね?
もしや、今の声に当てられた、とか?
それだったらどんだけ飢えてんだよって話だけども。
というか、男押し倒すとか相当切羽詰まってるのか。
モテモテなんだから女つくりゃあいいのに。
まあ、それで傷つくのは自分だけど。

「ん、ふ…っ、やっぁ」
「っ」

ちょっと待てィ。
落ち着け沖田総悟。
キスされてるからって何だ。
衣服はがされているからって何だ!
え、待って、土方さんもしや、男の俺を抱くつもりなのか。
あの、土方さんのイチモツが…、って入らねえよ。てか、そういう問題じゃねえ。
暑さであてられたのか、土方さんは。落ち着け。

「や、土方さぁ、待って、待ってくだせぇ…っ、はぅ…」
「チッ」

ぎゃぁあああッッッ
ちょっと!土方さん!
強姦!せめて、許可とか貰いやしょうぜ!?
俺ぁ、許可出す気ないけど!
何俺の両腕頭上で纏めてんの、おかしい。
ぜってぇ、おかしい。

「や、やぁ、あっ、んぅっ、ふぅ…」

胸元弄られるわ、キスされるわ、心臓がいくつあっても足りる気がしない。
ていうか、足りない。
いい加減やめてくれないと容量オーバーして死んじゃう。

「ああっ、や!土方さんっ、俺、死んじゃ、からぁ…っ」
「は、死なねえよ。足、開けろ」
「んぁ、やぁ…!」

やめて、やだ。
てか、無理矢理足開けようとしないで。
これもう、足開けられたら終わりだと思う。
いろいろと危ないし、貞操とか!
後ろの処女は何としても守り抜かなくては。
…あれ、おかしいな、俺の両腕纏めてるの土方さんの腕じゃなくていつのまにか帯になってるんだけれども。
いつのまにやったんだ。もうやだ、熱で浮かされすぎて何があってないのか全然わかんない。

「ひッ、やだ!やめ、土方さんっ、そこだけは…!あう…っ」

見事に負けたよ。もう、ダメだ。俺の貞操はもう、なくなった。
純潔じゃなくなるんだ。
童貞より先に処女なくすってどんなだよ。

「あっ、やっああ!」

痛みがくるかと思ったら目が眩む程の快感が走った。
よかったああああっ、後ろじゃなくてよかったああああっっっ、ってよくねえや。駄目だ、快楽に弱いこの体どうにかしたい。

「やッ、やああっ、あんッあぁ…っ」
「総悟…ッ」
「ひ、かた、さぁ、俺ぇ…っ、んぅっ」

俺のイチモツは耐えしょうのないようで。
ぐちゅ、と先端を弄られただけで白濁したものが溢れ出してしまった。嫌だもう泣きたい。

「ぁ、土方さんごめ、顔に…っ」
「ああ、…あめえな。」
「んなわけねえだろィ」

今この状況が気まずい。
というか、内股に、その、土方さんのがあたってて、あの、余計に気まずい。

「土方さん、飢えてるからって、さ、俺襲うのはちょっとどうかと思いやすぜ。」
「…やっぱ犯す」
「へぁ?――ッいだぁ」

やりやがった。やりやがった。やりやがった!
後ろに指つっこみやがった!
痛い。ものっすごく痛い。
まだ指がさっき俺が出したもので濡れそぼっているから半減されてはいるが、駄目な気がする。
痛くて目がチカチカする。

「いたぁっ、痛いっ、土方さんってばぁ…ッ」
「チッ、…あれさえあれば…」

泣いてるかも。
目頭が熱い。寧ろ目が熱い。
痛くて堪らない。
奥までつっこまれた指が蠢く度にひきつるような痛みを覚える。
やだ、曲げないで、動かさないで。

「ぃ、ぎッ…、だぁ、ぃ…ッやだやだぁっ、土方さんの馬鹿ぁ…っ」
「…はぁ、総悟、こっちむけ」

むけ、とか乱暴に言うくせに俺を見る目があまりにも優しくて不安が遠退いた気がする。
気がする、だけど。

「ん、土方さん、も、いいから、さっさと入れて、おわらせてくだせぇ…」

帯で結ばれている腕を土方さんの首に絡めて足を広げる。
ごくり、と喉を鳴らす土方さんに少なからず安堵する。
煽られてくれたのか。こんな俺でも。

「…どうなっても知らねえから。」
「は、あぅ、いっだぁあ、ひッ、ぎぅ…」

きちんと解したからか血はでなかったものの、鋭い痛みが後孔に駆け巡る。

「ひっ、やぁ、痛いぃ」
「…あー、もう…だからいったろ。」
「や、抜かないで…?」
「っ」

大きくなった。何故。
締め付けか。
確かに、男の方がいいだろうが、痛くはないのか…?
千切れそうだと思う。
俺だったら願い下げ。

「動くぞ」
「ん、ん…ッ」

ぐちぐち、卑猥な音が自分の後ろからでているだなんて信じられない。
痛いのに、やめてほしくなくて、満足感があるのは何故。
ああ、相手が土方さんだからか。

「んー、ふぅ、は…」
「痛い、か…?」
「痛、いッ、…けど、…あッ…まだ、楽に…、さっき、よりは…、ぃうっ」

それは事実。
なぁんか、痛い、けど、奥の方にきゅう、って苦しくなるような切ないような…、愛しいような、ものが溢れてきて少し、ほんの少し楽になってきてる。愛故か。

「は…――っひゃあ!?」
「あった。やっと…」

あれ、おかしい。
すっごく気持ちいい。
というか、痛い。
気持ちよくて、痛い。
やだ、壊れる。
気持ちよくて壊れるとか、やだ。

「…総悟。…声、我慢すんな」
「だ、ってぇ…っひゃうッ、やだ!やぁあッ、俺、壊れるからぁっ、やめぇ…ッ」

前立腺、と呼ばれるところを集中攻撃されて俺のライフはもう、死にかけ。
だって、相手はあの土方さんだし、気持ちいいし、気持ちいいし、壊れるし。

「…っ、…きだ、好…な…だ」
「へ?…っあ、だめぇッ、や、俺!ぃく、ひぅ、あっ、やあぁぁぁッ」
「っく、ぁ」

ああ、もう、幸せな時間は過ぎてしまったようだ。
二度目はない。
だって、ほら、土方さんは暑さでやられただけだし、後で自己嫌悪しまくるだろうし。
あ、駄目だ。泣きそうかも。らしくもない。

「はー、はぁ…、土方さん…、抜い、て…ぇ」
「…待て、…お前さ、さっきの俺の言葉、聞こえた、か?」
「なに、いってるんでぃ…、意味がわから…な」

先に抜く方が先でしょうに。期待なんかさせんじゃねえよ、土方このやろぉ。

「はぁぁ…、よくきいとけ。」
「ん、だから先に…ッ」
「好きだ。」

……あれ?空耳?
おかしい。空耳がきこえた。もしくは幻聴。
俺の耳がおかしいのか。

「へぁ?…え?土方、さん?…今、好き…って」
「――っ!何度もいわせんなっ」
「あぅ、…動くな、よ」

好き。俺だって好きだ。
だけど、それが叶うときがくるとは思ってなかった。
あー、駄目だ。顔熱い。体中熱い。

「…俺だって、す、き…」
「ふ、やっぱり」

あああ、もう。
自信満々に笑わないで。

好きだコノヤロー。



+++

「…んっ、抜けよ…」
「せっかく両想いなんだから第二ラウンド…」
「っ!?やだ!ちょ、土方、やぁあああっっ」

…やっぱ嫌いだ!

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