短編
□恋愛ゲーム
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「先輩・・・」
「あっ、山本君?」
夕日が差し込み全体的にオレンジ色に染まっていて、どこか幻想的な雰囲気を醸し出す教室。
窓際で頬杖をついていたなまえ先輩は、オレの呼びかけで長い髪をふわりと揺らしながら振り向いた。
そんな些細なことでも嬉しいとか愛しいとか思っているオレは、いい加減末期かもしれない。
しばらく固まっていると、なまえ先輩が苦笑しながらこっちに近づいてきた。
「話ってなに?」
「あっ・・・その」
あークソッ!!
緊張しすぎだオレ!!
なんとか気持ちを落ち着かせようと、オレは一度深く深呼吸した。
なんだこれ。野球の試合より何倍も緊張する。
いつの間にかできてしまった沈黙に、オレはますます声が出なくなった。
そんな情けないオレに、先輩はさっきより更に近づいて、頭一個分も背が違うオレの頭に手をのばす。
「!」
「落ち着いて。ね?」
そう微笑みながらなまえ先輩はオレの頭を撫でた。一生懸命背伸びをしてまでだ。
そんな一つ一つの行動に、オレの心臓は一層速さを増す。
・・・あぁ、オレはこの人のこういう部分に惚れたんだ。
その平等に振り撒かれる笑顔を自分だけに向けたいと思うのに、時間はかからなかった。
気が付いたらオレの頭にあったその手をオレは握りしめていた。
先輩はキョトンとしているが、そんなのに構ってられない。
「先輩」
「ん?」
オレ、山本武。
今、今世紀最大のホームランを打つ。
かっとばせーオーレッ
(どうかボテボテのヒットだけは!!)
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ちなみにわたしソフト部なんです(゚∪゚*)
ホームランは気持ちいいですよーッ