短編

□恋愛ゲーム
1ページ/1ページ





「先輩・・・」

「あっ、山本君?」


夕日が差し込み全体的にオレンジ色に染まっていて、どこか幻想的な雰囲気を醸し出す教室。

窓際で頬杖をついていたなまえ先輩は、オレの呼びかけで長い髪をふわりと揺らしながら振り向いた。

そんな些細なことでも嬉しいとか愛しいとか思っているオレは、いい加減末期かもしれない。

しばらく固まっていると、なまえ先輩が苦笑しながらこっちに近づいてきた。


「話ってなに?」

「あっ・・・その」


あークソッ!!

緊張しすぎだオレ!!

なんとか気持ちを落ち着かせようと、オレは一度深く深呼吸した。

なんだこれ。野球の試合より何倍も緊張する。

いつの間にかできてしまった沈黙に、オレはますます声が出なくなった。

そんな情けないオレに、先輩はさっきより更に近づいて、頭一個分も背が違うオレの頭に手をのばす。


「!」

「落ち着いて。ね?」


そう微笑みながらなまえ先輩はオレの頭を撫でた。一生懸命背伸びをしてまでだ。

そんな一つ一つの行動に、オレの心臓は一層速さを増す。

・・・あぁ、オレはこの人のこういう部分に惚れたんだ。

その平等に振り撒かれる笑顔を自分だけに向けたいと思うのに、時間はかからなかった。

気が付いたらオレの頭にあったその手をオレは握りしめていた。

先輩はキョトンとしているが、そんなのに構ってられない。


「先輩」

「ん?」







オレ、山本武。

今、今世紀最大のホームランを打つ。





かっとばせーオーレッ

(どうかボテボテのヒットだけは!!)



−−−−−−−−−−−−−−−


ちなみにわたしソフト部なんです(゚∪゚*)

ホームランは気持ちいいですよーッ



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ